「学歴を低く」偽った人が退職させられたワケ 大卒を高卒と詐称の神戸市職員が懲戒免職に

東洋経済オンライン / 2018年12月10日 7時20分

学歴の逆詐称が問題になっています(写真:freeangle/PIXTA)

神戸市経済観光局の男性事務職員が最終学歴を詐称して採用されていたことを理由に、懲戒免職処分(民間企業の懲戒解雇処分に相当)を受けたと報道されました。

神戸市は11月26日、最終学歴を詐称したとして、経済観光局の男性事務職員(63)を懲戒免職にしたと、発表した。大学を卒業していたのに採用試験の際に履歴書には高卒と記載し、高卒以下に限定されている区分を受験して合格し、1980年5月から勤務していた。(「神戸新聞NEXT」2018年11月26日)

この報道を聞いて「処分が重すぎるのではないか」と感じた方も少なくないのではないでしょうか。

■40年近く前の学歴詐称は時効か

学歴を詐称したといっても、「高卒を大卒」ではなく、「大卒を高卒」と低い学歴で詐称したのですし、38年間勤務をしてきた実績もあるわけですから、40年近く前の学歴詐称は、世俗的な言い方をすれば「時効」と考える余地もありそうです。

実際、過去の判例を見ても、学歴詐称を理由に行われた解雇を、解雇権の濫用であるとして無効にしたものもあります。

そこで、本稿では、どのような場合に学歴詐称による解雇が有効になるのかということの整理と、今回の神戸市職員の事例を当てはめ裁判で争った場合に、懲戒免職処分は合法になりそうか、ということについて検証をしてみたいと思います。

まず、学歴詐称による解雇が有効になるか無効になるかの基準を整理します。過去の判例等を整理すると3つの観点から判断基準を挙げることができます。

第1は、学歴を採用基準にしていたかどうかです。

そもそも学歴を採用基準としていない場合は、履歴書に書かれた学歴が偽りであったとしても、解雇をすることは難しいと考えられます。履歴書にうそを書いたことで使用者との信頼関係が失われたとして何らかの懲戒処分を科すことは可能ですが、解雇に値するほどの「重要な経歴の詐称」とは言えないからです。

逆に、一定の学歴を採用基準としていた場合は、会社に採用の判断を誤らせたとして解雇が有効になる可能性が高まります。

■解雇を無効と下した判例

過去の判例でも、裁判所は「労働者が使用者からそれら(学歴その他の資格)の申告を求められた場合には、労働者は、少なくともそのうちの重要な部分については、これを正確に申告する信義則上の義務を負うものというべきである」と判断しています。(スーパーバッグ事件 東京地判 1979年3月8日)

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