生活保護費を搾取する「大規模無低」の正体 厚労省がお墨付き?貧困ビジネス拡大の懸念

東洋経済オンライン / 2018年12月13日 7時0分

「大規模無低」の簡易個室、布団を敷くスペースしかない(左)、個室とはいえ、ベニア板で間仕切っただけで、天井部分はつながっている(右)(写真:編集部)

生活保護費の受給者の生活支援をめぐって、大きな問題が浮上している。

保護受給者数は2018年7月時点で約210万人。2015年3月をピークにその総数は減少に転じている。世帯類型別に見ると、リーマンショック後は若年層などが増えたが、近年は景気回復を受け減少。母子世帯や傷病・障害者世帯なども同様に減少している。

一方で拡大の一途をたどるのが、高齢者世帯だ。世帯類型別ではすでに5割を超え、受給者のうち全体の47%は65歳以上の高齢者となっている。高齢の保護受給者数は、この20年で約3.4倍に拡大。中でも「高齢単身者」の増加が大きい。

住居を失った多くの高齢単身者の終の住処(ついのすみか)となっているのが、一時的な居所と位置づけられている社会福祉事業の1つ、「無料低額宿泊所」(無低)だ。

■生活保護で暮らす高齢者の「受け皿」

無低は「生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業」として社会福祉法に位置づけられている。一方、生活保護法は居宅保護(自宅における生活支援)を原則としており、補助的に救護施設や更生施設などが保護施設として位置づけられている。そうした中で、無低のみが拡大を続けてきた。

背景として考えられることは、単身高齢者の場合、民間アパートなどを借りようとしても拒否されるケースが多く、保護施設に加え養護老人ホームのような老人福祉施設も不足していることが挙げられる。その中で無低が生活保護で暮らす高齢者の「受け皿」として機能してきた経緯がある。

もちろん無低の中には、小規模なグループホームの形態で社会福祉士など福祉専門職が中心となり、巡回などを通じて利用者の生活安定に取り組んだり、福祉事務所や医療・福祉サービス事業者と連携し、適切な支援を提供したりする施設もある。

そうした小規模ながら良質な施設がある一方、拡大が続くのが入所者が多く要介護者も多い「大規模無低」だ。法的規制が少なく設置運営基準が緩いこともあり、1999年に特定非営利活動促進法(NPO法)が成立すると一気に広まった。

一部の運営事業者は1施設当たりの入所者数を大規模化。ホームレス状態にある人に、公園などで運営事業者自らが「相談」と称して声をかけ、施設に入れてしまう勧誘行為も横行した。

住居を失い福祉事務所に生活の相談に行くと、「大規模無低の利用を促された」と話す保護受給者は多く存在する。こうした運用実態が特定の大規模無低の急拡大に拍車をかけた可能性が高い。今では全国で無低施設数は537、入居者数は1万5600人に至っている。経営主体の8割弱がNPO法人だ。

■生活保護費はほとんど手元に残らない

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