シャープ「世界の亀山」液晶工場が陥った窮状 外国人労働者3000人解雇の裏に「空洞化」

東洋経済オンライン / 2018年12月19日 7時20分

かつて“世界の亀山”として知られたシャープの亀山工場(記者撮影)

液晶テレビ「アクオス」の生産拠点として2004年に稼働して以降、一時代を築いた“世界の亀山”ことシャープの亀山工場(三重県・亀山市)。テレビ事業が大幅に縮小してからも、生産ラインを一部売却し、スマホやタブレット向け中小型パネルの生産に乗り出すなど、形を変えながら存続してきた。

だが昨今、シャープを買収した台湾・鴻海精密工業が進める“分業体制”により、亀山工場の稼働率が大きく下がっていることがわかった。

12月初旬、三重県の労働組合「ユニオンみえ」など計4団体が厚生労働省で記者会見を開いた。ここで明らかになったのが、亀山工場に勤務していた外国人の派遣労働者約3000人が、シャープの3次下請けにあたる人材派遣会社ヒューマンによって、昨年末から今年10月にかけての短期間で雇い止めされていたことだ。

■大量採用直後に一転、雇い止めが続出

雇い止めの対象になった労働者が、米アップルのiPhone向け部品の生産に従事していたことから、「新型iPhone減産の影響か」とする報道もあるが、実態はやや異なる。

事の発端は、2017年に鴻海が米アップルの「iPhoneX」向け3Dセンシングモジュールの組み立てを受注し、傘下のシャープがそれを受託したことにある。同年から、亀山工場内ではiPhoneなどスマートフォン向けなどのカメラ部品を中心とした電子部品を開発・生産してきた。その中で、新型iPhoneの目玉機能ともいえる顔認証システムのセンサー部品生産に参入したとみられる。

新しいラインの垂直立ち上げに向け、シャープの2次下請けにあたる派遣会社は、3次下請け企業を通じ、2017年の夏以降に日系外国人コミュニティーから大量に人員を採用。昨年10~11月頃には「時給1300円」「月収37万円」といった好待遇を提示し、一時は4000人近い労働者を集めて人海戦術を繰り広げた。

だが状況が一変したのは、労働者を大量採用してからわずか数カ月後の昨年12月ごろ。「安定した職があると約束されて、友達と一緒に三重県に来たのに、12月ごろ一気に400人がクビになった」(今年9月に雇い止めされ、会見に出席した元労働者のスズキ・ファビオラさん)。

そもそも3Dセンターモジュールは製造工程が複雑で、歩留まりが低迷していた。シャープ関係者によれば、鴻海と、傘下の台湾タッチパネルメーカーGIS(業成)の責任者が亀山工場に赴き、陣頭指揮にあたったという。

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