2019年米中貿易戦争はどう展開していくのか トランプ大統領と共和党では目的にズレも

東洋経済オンライン / 2019年1月17日 7時40分

ワシントンにあるピーターソン国際経済研究所のチャッド・ボーン上級研究員は、アメリカ単独では中国の構造的問題は解決しないと主張する。その理由として、経済学者マンサー・オルソンが提唱した「フリーライダー問題」を挙げている。仮に中国の構造的問題をアメリカ単独で解決したとしても、米企業だけでなく、同じ構造的問題に直面している中国で事業を行う欧州企業や日本企業といった他国の企業も恩恵を享受することになる。つまり、欧州や日本はフリーライダーとなり、アメリカが単独で解決するインセンティブに欠けるという。

オバマ政権下においても、中国との構造的問題解決を狙った米中投資協定の交渉が失敗に終わったのも、フリーライダー問題が原因だと同研究員は指摘する。さらには農産品については、中国がアメリカ産穀物に関税をかけたとしても、ブラジルなど他国から調達することも可能だ。したがって、アメリカは多国間で連携しなければならないという。

アメリカ議会では誰もが中国の国家資本主義政策を問題視しているが、議会共和党も政権が単独で対中関税をかける対策には同意していない。トランプ大統領はライトハイザー代表が進める交渉にいずれ介入し短期的な解決策合意を迫らない限り、2019年はアメリカのさまざまな産業への被害が拡大することが見込まれる。アメリカ産業界、そして議員の地元選挙区からも被害を訴える声が、今後、さらに高まることが予想される中、トランプ政権に残された交渉時間は限られているかもしれない。

渡辺 亮司:米州住友商事会社ワシントン事務所 シニアアナリスト

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