今の「円の価値」は割安なのか、割高なのか? 為替相場の妥当性をしっかり検証してみよう

東洋経済オンライン / 2019年1月17日 7時30分

さらに、前出のように輸出入量で加重平均した為替レートは1つの通貨の価値を表すことができることは説明したとおりだが、そもそもそれぞれの国でインフレ率が異なるため、インフレ率分も調整することが必要になる。このように「国ごとのインフレ率の違いを調整した実効為替レート」のことを「実質実効為替レート」という。この実質実効為替レートを見ることによって、通貨の現在の価値と、その推移を見ることができる。

■実質実効為替レートと均衡実質為替レートを比較する

さて、ある通貨の現在の価値については、実質実効為替レートで見ることができることがわかった。その通貨が適正な価値よりも割高な状態にあるのか、それとも割安な状態にあるのかはどう判断すればいいだろうか。それは前出の「実質実効為替レート」と、「均衡実質為替レート」を比較することによって行われる。

私たちが日常的に見ているドル円、ユーロ円といった通貨ペアの為替レートは、現在はネットでいつでも検索できる。また実質実効為替レートも、各国の中央銀行などの国際機関が公表しており、統計データを用いることによって比較的簡単に計算できる。

一方で、通貨の適正な価値である均衡実質為替レートは、複雑なモデルで「推計」を行うことが必要だ。このレートを推計するモデルは数多く存在するが、ここではBloomberg Economicsが公表している均衡実質為替レートを用いて、円が適正と思われる価値に対してどのように推移してきたかを紹介しよう。

結果はチャートのとおりだ。Bloomberg Economicsの推計によると、円はいわゆるサブプライム危機から2008年のリーマンショックに至るまでの時期は適正と思われる価値よりも割安な状態が続き、逆にリーマンショック以降は割高状態が続いたことが見てとれる。

その後は2012年12月以降、いわゆるアベノミクスを経て、若干割安な時期が多かったが、2018年現在はほぼ適正と思われる価値に近い価格で取引されている、とこのモデルは示している。

それでは、ある通貨の適正な価値をうまく推計することができると、為替取引において利益を出すことを狙えるのだろうか。答えは、「狙えるときと狙えないときがある」だ。

まず「狙えないとき」とはいつか。それはある通貨の価格が適正価値付近にある場合だ。

■通貨の適正価値の推計は、実は「錬金術」にもなる?

企業の業績が変わることによって株式の適正な価値も上がったり下がったりするように、通貨の適正価値もその通貨が発行されている国の経済状況が変わることによって変動する。

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