日本人は「狂ったアメリカ」を知らなすぎる 「ディズニー、トランプ、GAFA」に熱狂するDNA

東洋経済オンライン / 2019年1月18日 9時0分

アメリカを覆う宗教観は、夢や幻覚、超自然的印象と強固に結びついた、自分が信じれば何でもありの個人主義的な宗教(的なるもの)の寄せ集めとも言える。

アメリカの南北戦争を、両軍とも聖戦と捉え、神の計画の中でどちらを神が罰するのかと考えたのは、当時の人々の自然な考え方であろう。

■「幻想・産業複合体」としてのアメリカ

宗教(的なるもの)と幻想、個人主義から生まれたアメリカは、メディアなどのテクノロジーの発達とともに、幻想を産業化する「幻想・産業複合体」となっていく。

中世では教会こそが舞台装置を備えたメディアであったといえるので、これもまた興味深い進化である。

1835年にはすでに金儲けのためのフェイクニュースが登場していた。新聞のニューヨーク・サン紙が、知的な文体で書かれた1万6000字の文章によって、月面上に生物(菜食のコウモリ人間)を発見したことを報じたのだ。

人々はその報道を信じ、名門大学のイェールでも疑いを抱いたものは誰もいなかったという。こうした「稼げるフェイク産業」が勃興し、サルと魚の剥製を組み合わせた「人魚」は、存在を信じさえすればそれは実在すると考える人々に好評を博したのだった。

時とともにアメリカ人の中で、「正しいと信じる権利がある」と考える気質は強化されていった。

そしてアメリカ人が信じたいものを見せる舞台装置は、ここ100年の間にテクノロジーによって加速されていった。VR(仮想現実)もない時代の仮想現実は映画だった。映画は当時の人々にとっては魔法であり「真実」だったのだ。まさに幻想・産業複合体の誕生である。

だが真実と幻想の区別がつかなくなったとき、日常に起こるさまざまな事象は陰謀説が絡みやすい。賢明な読者ならすぐに想像がつくように、アメリカはハリウッドでの「赤狩り」の時代に入り、共産主義者という隠れたスパイが民衆の知らないうちに映画やテレビでプロパガンダを行っているという幻想が爆発し、罪のない人々を追い詰めていった。

また近年に至っても、ケネディ暗殺に関する新しい真実や陰謀論を報じる映画やドキュメンタリーが創られ続けていることを私たちは知っている。

■「中二病」の先駆者としてのアメリカ

本書で詳述される「幻想・産業複合体」はいつまでも子どもでいたいベビーブーマー世代以降に完全に定着した。

真実とうその優雅な混合であるプロレスWWEに登場し、WWEのオーナーだったマクマホンに平手打ちした(フリをした)、後の大統領トランプ氏から、スラム街の悪党を名乗るギャングスタ・ラップまで、ある意味で日本の「中二病」の先駆者たちが、ずっと子どもでいたい消費者たちと一緒になって、「ごっこ」の産業を拡大していったのだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング