大阪の「ゴミ処理場」に中国人富裕層が行く理由 大都市を訪れるリッチな訪日中国人の攻略法

東洋経済オンライン / 2019年2月20日 7時0分

また、美術館に行くために、いろいろ下調べする。そのプロセスを通して、自分の鑑賞力も高まり、楽しみも増える。「日本の美術館は、とてもセンスがよい。レイアウトから作品まで、欧米と違って、見る人目線で考えていると感じる。特に東京の美術館は、1週間いても見きれず、飽きもこない。いつもネットで一生懸命次の美術展の情報を集めて、来日の日程を立てている」という若い富裕層が多い。つまり、外見から心まで「洗練」されつつあるのである。

実は美術展めぐりブームは、大衆の若い訪日中国人(「文青」)まで広まってきている。大都市の美術館は、利便性が高く、周りの商業施設での買い物を組み合わせると、相乗効果があるだけでなく、リピーターの確保にも繋がる。しかし、中国人は、日本の美術展の情報収集に非常に苦労し、チケット予約にも困っているのが現実である。美術展での多言語対応も遅れており、改善する余地があるだろう。

一方、オトナの富裕層はどんな訪日体験をしたいのか?

40代以上の中高年訪日富裕層の顧客像は、「40代、中国の上場企業社長で、プライベートジェットで年5回以上東京に来る。夫婦で一緒に来て、宿泊は120平米以上のスイートルームに泊まる」だ。

昼間は都内の骨董品のオークションでいいものを落札し、食事は1人10数万円のレストランで満喫。その後、東京の近くにある有名な寺院で座禅をし、心を清める。もちろん、すべてが予約制だが、中国語も日本語も堪能な専用「付き人」がおり、個別に丁寧に対応してくれる。こんな定番コースだと、4泊5日の東京での費用は、夫婦で25万元(約400万円)を軽々と超える。

最近は日本の名門病院での健康診断も流行している。健康診断、人間ドックの紹介会社が急増し、値段も上限がないようだ。病院予約を入れ、人間ドックと当日ついていくだけで100万円も費用がかかるところもあるようだ。なぜ大都市の病院が人気かというと、医療資源の格差が大きい中国では、いい病院といい医師が全部大都市に集中しており、それと同じ感覚で日本のことを考えているのだろう。オトナの富裕層についてのヒントもまだまだたくさんあるが、前述の若い富裕層とはまた別の世界だ。

■大都市で中国人富裕層が楽しめるところはたくさんある

訪日中国人の地方への関心が高まっていると言われているが、ファッション・アートセンスから健康診断まで、まだまだ大都市志向が強い。確かに大都市にはもっとも先端的、もっとも洗練されている、もっとも良いと言われる資源が集中している。こういう強みを十分に発揮すべきだろう。

そして、東京をはじめとする大都市は、同じ富裕層であっても、年齢別に若い富裕層かオトナの富裕層なのか、さらにそれ以外のカテゴリーにも富裕層を細分化して彼らのニーズを検討すべきだろう。

「大都市だから何もしなくても来る」といった安易な考えを捨て、「この富裕層は〇〇があるから来ている」と再認識し、「〇〇をすればもっと惹かれる」という方向性を明確化し、大都市における今後のインバウンド戦略を進めていくことが必要なのではないだろうか。

劉 瀟瀟:三菱総合研究所 研究員

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