アメリカで拡大する「リバタリアニズム」の正体 従来の2大政党に反対する有権者たち

東洋経済オンライン / 2019年3月3日 17時0分

──リバタリアンは、既存の保守派である右、リベラル派である左の両方をも批判している、と。

リバタリアンは現在の世界の状況について、自由が失われていると危惧しています。背景として2つ挙げられます。

1つ目はアイデンティティーの政治(アイデンティティーに基づく集団利益を拡大する政治運動)。右派でいうと、人種主義や排外主義のような動きです。一方の左派では、ポリティカルコレクトネス(政治的正しさ)です。黒人自らが権利を主張するのは受け入れる一方、白人が同じような主張をするのは「白人至上主義」と問題視する。そういったアイデンティティーの政治に訴えて、言論空間を窮屈なものにしている。2つ目はポピュリズムです。この2つが結び付いたものがトランプ現象ともいえます。

リバタリアンは既存勢力の左右どちらをも批判し、「右だけじゃなく左も悪いんだ」という立場を取っています。現在の政治の混乱を見ると、リバタリアンの主張には一理あるといえるでしょう。

──リバタリアニズムはアメリカだけの現象でしょうか。

世界中で草の根の動きが広がっています。国家が強い中国にも、北京に「天則経済研究所」というリバタリアニズム系のシンクタンクがあります。中国政府のような権威主義とは相いれない主張だけに、研究所が鉄格子で封鎖されるなど当局から圧力を受けています。危険を冒してまでも自身の信じる自由のために戦っている中国のリバタリアンの姿を見て、その勇気に感銘を受けました。

リバタリアンの動きはほかの地域でも広がっています。例えばヨーロッパ。イギリスのEU(欧州連合)離脱にしても、EUという大きな政府への反発から支持するリバタリアンがいます。さらに東ヨーロッパ。共産主義の影響を受けた地域だけに、自由を求める意識が強い。南米も同じです。軍事政権や社会主義政権が力を持ち抑圧された過去があるため、自由の尊さを理解しているのでしょう。

──日本でもリバタリアニズムは広がりそうですか。

日本は明治維新をきっかけに中央集権型で歩んできたため、国家の求心力が強い。そういった歴史的な背景を持つため、リバタリアンの考え方というのは非現実的に捉えられてしまいます。

ただし、日本経済の成長が続いた時代が終わった今、「政府が本来果たすべき役割とは」「最低限取り組むべき機能とは何か」を一度見つめ直す必要がある。そういったときに、政府をどこまで頼っていいのか、と思考実験するうえでも最小国家を目指すリバタリアンの考え方は役立ちます。

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