日韓はなぜ良好な関係を継続できないのか 韓国・文大統領「親日清算」発言の本当の意味

東洋経済オンライン / 2019年3月5日 7時0分

3月1日にソウル市内で開かれた「三・一独立運動」100年の式典に出席した文在寅大統領夫妻(写真:共同通信)

植民地支配下の朝鮮で起きた広範囲の独立運動とされる「三・一運動」の記念日である3月1日。日韓関係がかつてないほど悪化していることもあって、韓国全土で反日ムードが高まり、大変なことになるのではないかと心配する向きもあったが、結果的には大きな混乱もなく終わった。

今年がちょうど100周年にあたることもあって、文在寅大統領は三・一運動記念日に向けて「親日清算」を繰り返し強調していた。そして、政府主催の記念式典での演説では、「親日残滓の清算はあまりにも長く先延ばしされた宿題だ」と強調していた。

この部分だけを聞くと、まるで日本が好きな韓国人全員を排除しようとしているかのように受け取れる。文大統領はここまで徹底した「反日」なのかと諦めたくもなる。しかし、文大統領の言う「親日」の言葉の意味は、日本人が受け止めている意味とはまったく異なっている。

■日韓で異なる「親日」の意味

文大統領は同じ演説で次のように説明している。

「親日残滓の清算とは、親日は反省すべき、独立運動は礼遇を受けるべきという最も単純な価値を立て直すことです」

これだけではまだわかりにくい。菅義偉官房長官が先月、記者の質問に答えて「親日清算」について説明しているので、それを紹介しよう。

「韓国の独立運動の歴史や独立運動家の記憶を強調する文脈で発言したと承知している。このような文脈の親日は、戦前や戦中に日本に協力した関係者を批判する用語であり、日本語でいう親日とは意味が異なるものだ」

これならわかりやすい。日本語の語感では一般的に「親日」と言えば日本を好きなことであり、「親日家」と言えば日本の観光地や食事などが好きで頻繁に来日する外国人を指している。ところが同じ漢字を使っても、文大統領の言葉の意味は、菅官房長官が説明したように、植民地支配時代に日本政府や日本軍に積極的に協力した韓国人を指しているのだ。その「清算」とは、そうした「親日」の人たちが戦後もぬくぬくと暮らしていることは許せないという意味なのだ。

2018年には韓国から約750万人が来日した。この中には観光目的の韓国人も多いだろう。そうした人たちに韓国政府が「親日は清算する」と言って圧力を加えるということは、冷静に考えればありえないことである。言葉の意味を誤解し、感情的に反発することだけは避けなければなるまい。

「親日」をめぐる韓国内の論争は文大統領が初めてではない。太平洋戦争終結後、韓国はアメリカの支配を経て1948年に独立した。李承晩、朴正煕、全斗煥大統領らの独裁国家、軍事国家が続き、民主化が実現したのは1987年だった。

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