34歳「脱サラ」ラグビー登山家がW杯に賭す人生 日本大会開幕前に出場25カ国最高峰へトライ

東洋経済オンライン / 2019年3月9日 13時0分

ラグビー登山家としてラグビーワールドカップの歴代出場国の最高峰にトライし続ける長澤奏喜氏(撮影:今井康一)

世界各国の最高峰にトライし続けるラガーマンがいる。

“ラグビー登山家”の長澤奏喜(そうき)、34歳。

長澤が本格的に登山を始めたのは、2015年に開催されたラグビーワールドカップ(以下、ラグビーW杯)イングランド大会で、日本代表が強豪国の一角、南アフリカ代表を撃破した試合をテレビで観戦したのがきっかけだった。

「ジャイアントキリング」を目の当たりにし、「不可能はない」と一大決心。勤務先の大手IT企業を退職して難関に挑むことを決めた。ターゲットは1987年の第1回大会から今年9月に開幕する日本大会を含めた計9回のW杯出場25カ国の最高峰である。

■高校時代に始めたラグビー、登山は初心者

長澤が楕円球を追いかけるようになったのは高校時代からだ。愛知・明和高校でプレーした3年生の秋、花園への出場を懸けた県予選の決勝で千種高校に惜しくも敗れた。大学も伝統あるサークルでラグビーに取り組み、社会人になってもプレーを続けていた。

それだけに、体力には自信があった。学生時代には「四国八十八カ所巡礼」なども行ったが山登りの経験といえば、「夏の高尾山ぐらいだった」。

それなのになぜ、登山?

「日本大会のトーナメントマーク(ロゴデザイン)に富士山から日の昇る様子があしらわれていたから。あたかも富士山の山頂にトライしているようなデザインと感じた」

それゆえ、登山にはラグビーボールが必須のアイテムだ。

山頂でのトライを目指す。

「リュックサックに入れておいたらご利益がない」

手に抱えたままだと多少、妨げにはなるが、そのおかげで登山仲間とのコミュニケーションがはずむという。「パスをしたら、サラミをもらったこともある」。さながら「名刺代わり」といえそうだ。

難易度が低いとみられる山から次々と挑戦。2017年3月のポルトガル・トーレ山(海抜1993m)を皮切りに、これまで20カ国の山々を征服した。

2018年10月に登頂したアフリカ・コートジボワールのニンバ山(同1752m)はギニアとの国境に位置。それに連なる山塊を挟んでリベリアとも接している。

一帯は鉱物資源をめぐる紛争などが頻繁に起きる地域。「ふだんはサルの研究者ぐらいしか立ち入ることができない」という。

だが、登山の許可をめぐってやり取りしていたメールの相手が、幸運にもコートジボワールの官公庁のトップだった。手配してくれた軍の応援も得て、登頂に成功した。

2019年1月にトライを決めたトンガのカオ島(同1033m)も“手ごわい相手”だった。同島は無人島。最も近い有人島からは70㎞の距離にあり、足を運ぶには船をチャーターするしかない。しかも、「日本人の登頂例はこれまでなかった」。

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