PDCAより「OODA」が日本で導入しやすい理由  「宮本武蔵とキーエンス」は戦わずして勝つ

東洋経済オンライン / 2019年3月15日 7時30分

一対多数で勝つには何が必要でしょうか(写真:wavebreakmedia/PIXTA)

アメリカ海兵隊だけでなく、ビジネスの世界でも優良企業に採用され、いま話題のOODAループは、2冊の東洋の書物の影響を受けています。1つが『孫子』、もう1つが宮本武蔵の『五輪書』です。発売1週間で2万部を突破した、古典的名著の日本語版『OODA LOOP(ウーダループ):次世代の最強組織に進化する意思決定スキル』を翻訳・解説した神戸大学大学院の原田勉教授に、前回の「PDCAがAI時代では『オワコン』な根本理由」に引き続き、OODA(観察<Observe>、情勢判断<Orient>、意思決定<Decide>、行動<Act>)はビジネスにどのように役立つのかについて、宮本武蔵の決闘を事例に語ってもらった。

■なぜ武蔵はたった1人で剣術の名門を破れたのか?

宮本武蔵は生涯で60を超える決闘を行い、そのすべてに勝利しています。それらの決闘のなかで有名なのは、佐々木小次郎との巌流島の戦いです。しかし、これはかなり吉川英治の小説『宮本武蔵』(新潮文庫)の創作が入っているようです。

おそらく武蔵にとって最も重要な勝利は、京都の一乗寺下り松での吉岡家一門との決闘でしょう。吉岡家は将軍家兵法指南役を務めた名門であり、そこを破ることで武蔵の名声は飛躍的に高まりました。この吉岡一門との決闘は、一度だけではなく、複数回行われたようです。そして、その最終的な決闘となったのが、一乗寺下り松の決闘です。

では、武蔵はなぜ勝利することができたのでしょうか。小説では、一乗寺下り松の決闘では、数十人に対して武蔵が一人で立ち向かい、勝利したことになっています。確かに現場には数十人とも数百人ともいわれる門弟たちが集まっていたようです。

しかし、実際の相手は12歳の幼い当主、吉岡源次郎でした。武蔵は一乗寺下り松を一望できる高台から敵の動向を観察し、源次郎が油断している隙を逃さず、気づかれないように一挙に近づき、背後から斬り倒したのです。不意を突かれ慌てふためいた一門の者の何人かは、武蔵に向かっていきましたが斬られてしまい、武蔵は一目散にその場所を立ち去ったのです。

巌流島の決闘でも、武蔵はあえて約束時間よりも大幅に遅れて現れ、いらいらした小次郎に対して闘いを挑んでいます。これらの戦い方は、OODAでいう物理的・心理的な奇襲戦略です。これによって相手をパニックに陥れ、心理的に麻痺させることで優位に闘いを進めているのです。

■勝負は闘う前の準備で決まる

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