気仙沼の復興事業、被災者宅に「レッドゾーン」 土地区画整理で「重要事項」の説明なく換地

東洋経済オンライン / 2019年3月15日 8時0分

盛り土かさ上げ工事が終わった気仙沼市内の土地。左の傾斜地の真下の部分が土砂災害特別警戒区域に指定されている(記者撮影)

国の法律で定められた「土砂災害特別警戒区域」は“レッドゾーン”と呼ばれ、住宅の建築が厳しく制限されている。近接した土砂崩れの危険がある斜面をコンクリートで補強するなど万全の対策を講じなければ、レッドゾーンでの住宅の建築は認められない。不動産業者は宅地や建物の売買に際して、買い主に特別警戒区域であることを説明する義務がある。

ところが、その事実を伝えられないまま、危うく自宅の建築に取りかかろうとした住民がいる。宮城県気仙沼市内で進められている震災復興目的の土地区画整理事業で、問題が発覚した。

気仙沼市による土地区画整理事業に協力した小原功さん(52)が、市から元々住んでいた土地に換地処分を受けたのは2018年11月末。「2019年3月頃には念願の自宅が完成する。7年以上に及ぶ仮設住宅暮らしからやっと抜け出すことができる」。こう思って工事に踏み切ろうとした矢先、近所に住んでいた春日淳一さん(72)から耳を疑うような情報が飛び込んできた。

「小原さんのところも、住宅の一部にレッドゾーンがかかっている。建築確認が通らないかもしれないよ」。驚いた小原さんが市役所に問いただしたところ、宮城県によって10年前に自宅の敷地の一部が土砂災害特別警戒区域に指定されていた事実が判明。工事着手を見送らざるを得なくなった。

■「ご存じだと思っていました」

高齢の母親の介護を考えて平屋建てで計画していた住宅の建築は2階建てへの変更を余儀なくされ、完成時期は4カ月も後ろ倒しになった。「住宅を道路のほうにずらす必要がある。クルマの切り返しのスペースがなくなる一方、家の裏に使い道のない土地が残った」(小原さん)。

「土地区画整理事業では、道路の拡幅などのために元々の所有面積の14%が削られた。これは仕方ないとしても、8年近くも待たされた末のこのありさまには、憤りを感じざるをえない」。小原さんは今も納得がいかない様子だ。

小原さんに情報を伝えた春日さんも、換地処分を受けた土地の一部にレッドゾーンが含まれていた。春日さんがその事実を知ったのは、市から土地を引き渡される直前の昨年12月初め。自宅の新築を頼んだ工事業者からその事実を知らされた。春日さんが市の担当者に問い合わせたところ、「元々ご自身の土地だったので、ご存じだと思っていました」との回答があったという。

小原さんや春日さんが暮らしていた土地の一部が、宮城県によって土砂災害特別警戒区域に指定されたのは、震災の2年半前の2008年10月だった。県の担当者によれば、「土地所有者の住民を対象に説明会を開催するとともに、欠席された方には説明会資料を郵送している」という。しかし、小原さん、春日さんとも「指定の事実は知らなかった」としている。ただ、そのこと自体を2人が問題にしているわけではない。

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