日本がマレーシアに「洋菓子のW杯」で負けた理由 アジアナンバーワンの座を奪い返せるか

東洋経済オンライン / 2019年3月20日 16時30分

マレーシアの代表メンバーは、ウエイローン・タンさん、オットー・テイさん(アカデミー・オブ・ペストリーアーツ)、ミンアイ・ロイさん(ドブラ・アジア)。3人は同じ製菓学校の現役・または元講師で、2013年から過去4回、または3回、と何度も大会に出場し続けている。

一方、日本の代表メンバーは、西山未来さん(スタジオ・シュゼット)、伊藤文明さん(パティスリー メゾンドゥース)、小熊亮平さん(グルメ和光)で、全員が企業所属のパティシエ、または洋菓子店のオーナーで、3人とも世界大会は初出場だ。

同じ選手が毎年出場してはいけない、というルールはない。マレーシアには、国際大会レベルのパティシエが少ないこともあり、同じメンバーを繰り返し出場させてきたが、日本はパティシエの母数が多いため、毎回予選を行い、メンバーを一新する。日本では、広くパティシエにチャンスを与える「登竜門」と考えられてもいるのだ。

今年は初めて日本代表に、個人店のオーナーパティシエが選ばれた。「家族と店のスタッフの生活基盤を絶対に守った上で、やりきる覚悟でした。営業後の朝4時まで練習した時期もあります」(伊藤文明さん)

マレーシアに目を向けると「パティスリーを世界レベルに」という目標が見えてくる。

2025年に先進国入りを目指すマレーシアは、観光産業に力を入れ、2020年には外国人観光客を3000万人と見込む(2018年から16%増)。2018年にはフォーシーズンズ、バンヤンツリーなどのホテルが続々とオープンし、高級ホテルも出そろった。

「マレーシアでは、ベーカリーやスイーツ、和食やフレンチもそうですが、グローバルに通用する食のクオリティが年々向上しているのです」(マレーシア政府観光局)

グルメな外国人観光客を喜ばせるために「美味」は欠かせない。マレーシアでは、ハイレベルな菓子職人が求められている。世界大会で優勝したパティシエが在籍するペストリースクールには、学生が集まる。

また、W杯優勝は国の誇りになる。実際にこの「世界一」を、国内の主要メディアがトップニュースとして報じ、代表メンバーはテレビ番組にも引っ張りだこ。海外からのオファーも入っているという。

■日本チームも「本気」

日本は21カ国の中で2位。十分すぎるほどすばらしい快挙である。しかし日本のトップパティシエたちは、ここで満足してはいない。

「ペストリー界でアジアナンバーワンを守り続けて来た日本が、30年たって初めて負けた。これがいちばん悔しい」(松島義典さん)。「日本は技術力で100点をとれている。ただし日本への期待は高く、優勝には見たこともないような斬新さが求められる」(2007〜2011年日本チーム団長・柳 正司さん)。

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