日本メディアが報じない南米「PROSUR」の正体 ベネズエラ・マドゥロ包囲組織ではない?

東洋経済オンライン / 2019年4月14日 7時50分

チリ・サンティアゴで発足した「PROSUR」には、南米8カ国が参加している(写真:Rodrigo Garrido/ロイター)

3月22日、南米チリの首都サンティアゴで開催された南米統合首脳会合で、南米統合へ向けた新たな枠組み「ラテンアメリカの前進と発展のためのフォーラム(Foro para el Progreso y Desarrollo de América Latina=PROSUR)」が発足した。参加国はアルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、エクアドル、パラグアイ、ペルー、ガイアナの8カ国。ベネズエラのグアイドー暫定大統領も出席する予定だったが、国内事情により出席は断念した。

日本の報道の多くは、PROSURは、ベネズエラの紛争に絡み、マドゥロ政権に反対する動きで集まった連合組織と説明する向きがほとんどだった。だが、それが発足の主因ではない。反マドゥロ政権に反対してできた組織であればすでに「リマ・グループ」が存在している。

■チリとコロンビア大統領の提唱によって誕生

リマ・グループは2017年8月にペルーの首都リマにて、ブラジルやアルゼンチン、カナダなど米州14カ国が参加して、ベネズエラのマドゥロ大統領を非合法的な大統領だとして、平和的に同国の紛争を解決するために誕生した。

一方、PROSURはチリのセバスチアン・ピニェラとコロンビアのイヴァン・ドゥケ両大統領の提唱によって誕生した組織で、ラテンアメリカにおけるインフラ整備や、エネルギー開発、地域の防衛、犯罪との闘争と安全、自然災害における予防と対策といったテーマを主体に、参加国の間で対話を通して統合を目指そうとする組織体として誕生した。

背景には南米諸国間での会合や対話が減っていることを懸念する向きがあり、とりわけピニェラ大統領らは、南米12カ国が参加している南米諸国連合(UNASUR)の会議がこの5年間開かれていないことを危惧していたようだ。

UNASURは、2008年にブラジルの当時のルラ大統領が提唱し、それにベネズエラのチャベス前大統領が呼応して2011年に発足。ルラ元大統領とチャベス前大統領のほか、アルゼンチンのクリスチーナ・フェルナンデス前大統領、ボリビアのエボ・モラレス・アイマ大統領、エクアドルのラファエル・コレア前大統領といった左派系大統領が主導していた。

当初から反米意識の強い政治思想が顕著だった同組織は、官僚主義的な組織体となってしまったことで、2014年以降離脱する国も増え、現在ではボリビア、スリナム、ウルグアイ、ガイアナ、ベネズエラの5カ国が残っているだけとなっている。

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