令和時代を「1人」で幸福に生きる手段はあるか ゆるいつながりが健康を飛躍的に向上させる

東洋経済オンライン / 2019年4月16日 8時20分

免れない社会問題となってしまった「孤独死」。少しでも個人の孤立化を防ぐために、われわれができることはあるのでしょうか(写真:Fast&Slow/PIXTA)

新しい時代の幕が開ける。語感も流麗な新元号は、評判も上々のようだが、注目すべきは、その意味合いだ。

安倍晋三首相は「『令和』には、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ、という意味が込められている。次の世代、次代を担う若者たちが、それぞれの夢や希望に向かって頑張っていける社会、1億総活躍社会を作り上げる希望に満ちあふれた日本を国民の皆さんと共に作り上げていきたい」とその思いを語っている。

■ひきこもり100万人時代、増加する孤独死

「美しく心を寄せ合う」。言葉面は実に麗しいが、実態はどうだろう。

この元号発表からさかのぼること数日前、内閣府は3月末、40~64歳の中高年の引きこもりが、推計61万3千人に上るとの調査結果を明らかにした。2016年の調査では、15歳から39歳までの引きこもりが推計54万1千人いるとされているため、実に100万人以上が社会とのつながりを十分に持てない状態にあるということになる。

いじめや虐待、引きこもり、貧困といった日本の多くの深刻な社会問題のB面にあるのは、人と人のつながりの欠損、社会的孤立という根本問題だ。

これからの時代、「1人で自立して生きていく強さ」は一層、求められるだろうし、1人(ソロ)を積極的に楽しむ「Solitude (ソリチュード)の孤独」の時間や1人でいたい人の意思も尊重されるべきだろう。

一方で、何かあったときに、頼れる人や支え合う人がまったくいない、不安で寂しいなど、自ら望まない「Loneliness(ロンリネス)の孤独」は心身を蝕み、たばこやアルコール依存症と同等の健康影響をもたらすとされており、それらも同様に、ポジティブな文脈で語るのは難しい。

短期的にそのつらさを乗り越える強さは求められても、長期的に「ロンリネスの孤独」を楽しめ、というのは、「孤児」に対して、1人耐え忍べ、と何の手立ても講じないことと同じぐらい、理にかなわない。

「孤独」と「自立」は似て非なるものである。「孤立」は悪いが、「孤独」はいい、という人もいるが、グローバルに「伝染病」として危惧されているのは「ロンリネスの孤独」のほうである。孤独は孤立の内観であり、物理的な孤立よりも精神的な孤独のほうが危険であるという認識なのだ。

しかし、こうしたあまたある医学的学説も、この国では、「孤独万歳」「孤独の力」「孤独のススメ」といった「孤独は美徳」の大合唱にかき消されているのが実情だ。そして、こうした「孤独崇高論」の陰で、人間関係に起因する多くの社会問題が、「個人の問題」「家庭の問題」「自己責任」とまったく手つかずのまま、放置されている。結果として、人と人のつながる力は弱体化し、長期的、慢性的に「孤独」の状態に置かれる人の数は膨れ上がり、ありとあらゆるデータが、この国が世界に冠たる「孤独大国」化していることを指し示している。

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