月額3000円の「飲み放題コーヒー」が儲かるわけ 「外食サブスクモデル」に可能性はあるか

東洋経済オンライン / 2019年4月20日 7時0分

蓄積したデータを分析して、飲み物やフード、組み合わせメニューの開発に活用する。売れ筋商品や顧客の来店ピークが正確に予測できることもあり、廃棄や品切れといったロスもほとんどない。

また、毎日のように利用する「常連客」が多いため、スタッフは顧客の顔を覚え、自然にコミュニケーションが生まれる。そうなると「新しい商品はいかがですか」などと声を掛けることで、追加購入を促進できる。

つまり、サブスクサービスでのコーヒー販売は来店頻度が高すぎると利益が圧迫されるように見えるが、逆にデータ蓄積やコミュニケーションの向上により効率的な運営と「ついで買い」の商機を生むことができる、というわけだ。

「月に22回も利用してもらえる飲食店はほかにないだろう。顧客の囲い込みができている」と高梨社長は胸を張る。現在は直営で3店舗のみだが、「フランチャイズ展開をしたい、との問い合わせも多い」(同)と明かす。

飲食店のサブスクサービスは、ラーメンチェーンにもある。1都3県に16店を運営する「野郎ラーメン」だ。2017年11月に開始したサービスは専用アプリで登録し、月額8600円(税抜き)を支払う。アプリ上の「パスポート」を提示すると、1日1回「豚骨野郎」(税込み780円)、「汁無し野郎」(同830円)、「味噌野郎」(同880円)の3種類のどれかを食べることができる。

利用者は、近隣のオフィスで勤務するビジネスパーソンや学生が多い。平均で月に17~18杯を食べるといい、「損益としては正直厳しい」(野郎ラーメンを運営するフードリヴァンプ社の黒木勝巳氏)。月に11~12杯を食べないと元を取れないため、継続率もさほど高くないようだ。

ただ、収益確保というよりも常連客へのサービス拡充の側面が強い。期待どおり、常連客とのコミュニケーションが増え、「会員は券売機を使用せずに、スタッフにアプリを提示して商品を注文する。『常連客』だとすぐにわかり、声を掛けやすくなった」(黒木氏)。同社は今後もこのサービスを継続する考えだ。

■利益は出ないが、PR効果は大きい

野郎ラーメンのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での露出が増加する効果もあった。SNSで1カ月間ラーメンを食べ続ける様子をアップする会員が少なくない。テレビニュースでも頻繁に取り上げられ、広告費をかけずにサービスの知名度を上げることができた。サブスクの仕組み自体では利益を出せていないが、全体的にはPR効果が大きいようだ。

飲食店でも広がりつつあるサブスクサービス。飲食店のビジネスは注文があった商品を販売する単純な収益モデルに限られていたが、月額制が定着するとサービスの多様化につながる。購買方法の選択肢が増えるのは、消費者にとって悪くないことだろう。

佐々木 亮祐:東洋経済 記者

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