ジャカルタ地下鉄開業、薄い「日本」の存在感 記念式典で大統領は一言も「支援」に触れず

東洋経済オンライン / 2019年4月21日 7時30分

4月から営業運転を開始したMRTJ南北線。始発のルバックブルス駅で電車の到着を待つ乗客たち(筆者撮影)

2013年の工事着工から5年半、インドネシアの首都ジャカルタを縦貫する都市高速鉄道、MRTJ南北線の第1期区間、ルバックブルス―ブンダランHI間が4月1日、ついに営業運転を開始した。

人口3200万人を超えるこの大都市圏に初の本格的都市交通が誕生したというインパクトは大きく、また本邦技術活用案件の政府開発援助として実施された「パッケージ型鉄道インフラ輸出」初の事例であり、この5年間で得た教訓、そして開業後のオペレーションは、わが国の鉄道インフラ輸出の今後を占うものになるだろう。

営業運転の開始に先立ち、無料試乗期間中の3月24日にはジョコ・ウィドド(ジョコウィ)大統領出席の下、開業セレモニーが盛大に実施された。

しかしながら、セレモニーにおいて大統領の口から「日本」という単語はいっさい出ず、日本国内でのMRTJ開業に対する報じられ方と裏腹に、当地においてはMRTJが日本の支援で建設されていることがあまり知られていないなど、両国間での温度差が依然として感じられた。

■整然とした通勤風景

筆者もさっそくMRTJを利用しているが、とくに平日はジャカルタ南部、いわゆる山手住民の通勤手段としてすっかり定着した感がある。

3月中の無料試乗期間中は乗客が殺到し、ゴミのポイ捨てといったマナーの悪さや、無理な乗車によって遅れが発生するなどの問題もあったが、いざ営業運転が開始されると、そのような様子は見られない。始発となる朝のルバックブルス駅で、バスやオンライン配車の車を降りた人々が階段をさっそうと上がってくる風景は、もはやインドネシアではない。

エスカレーターは、シンガポールなど近隣諸国に合わせた日本で言う高速設定になっており、何も注意喚起しなくとも乗客は左側に立って片側を空けるなど、既存の通勤鉄道(KCI)では見られない光景に驚かされる。乗車の際も当然、ホームドアの脇に整列している。これは、従来は鉄道に縁のなかった中産階級以上のホワイトカラーたちが鉄道を利用し始めたという証しである。

朝のラッシュ時間帯では、始発のルバックブルスで座席はほぼ埋まってしまう。その後も各駅で乗車があり、中間のブロックMでは立ち客もかなり出ている。それでも車内は静寂に包まれており、繰り返しのマナー放送をもってしても混沌としたKCIの通勤風景とはやはり状況を異にする。

4月中はあくまでも暫定営業であり、5時30分~22時まで終日10分間隔(深夜早朝除く)の運転で、4月上旬時点では券売機もほとんどが稼働しておらず、乗客は銀行が発行する電子マネー(駅でのチャージは不可)を使うか、窓口に並んで乗車券を購入する必要がある。

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