岡村孝子さんが患う急性白血病はどんな病気か さまざまなタイプがあり治療法も細分化

東洋経済オンライン / 2019年4月23日 14時40分

岡村孝子さんは女性デュオ「あみん」でデビューしたことでも知られる(写真:日刊スポーツ新聞社)

歌手の岡村孝子さん(57歳)が自身の公式サイトで急性白血病と診断されたことを公表した。

私は血液内科を専門としてきた。本稿は急性白血病について詳しく解説していくが、岡村さんの病状について直接的に触れたり、今後を予測したりするものではないことを最初にお断りしておきたい。

■白血病に早期診断という概念はない

有名人が白血病になると、周囲から質問を受ける。多いのは「早く見つかったから治るかしら?」というものだ。実はこの質問ほど回答しにくいものはない。それは白血病については早期診断という概念がなく、また同じ白血病でもタイプが細分化され、タイプによって治療成績がまったく違うからだ。

同じ白血球の悪性腫瘍であっても、治癒が高率に期待できる早期胃がんと、予後不良な癌の代表的な存在である膵臓がんほど、さまざまなケースがある。

まずは早期発見だ。これは池江璃花子選手が白血病を公表した際にも話題となった。池江さんの白血病発覚について「早期発見」をポイントにして報じたメディアは複数あった。これは医学的には不適切だった。

白血病は血液の病気だ。大きくは急性白血病と慢性白血病に分かれるが、いずれも骨髄に存在する幼弱な血液細胞が無制限に増殖することが原因だ。早い段階から全身を循環する。この状況は胃がんなど固形がんとは対称的だ。

固形がんは1カ所でがん細胞が生じ、進行とともに全身に転移する。がん細胞が原発病巣に留まっていれば、手術で摘出できるが、そうでなければ抗がん剤や放射線治療をするしかない。この場合、予後は不良となる。

国立がん研究センター中央病院の報告によれば、胃がんのステージ1の場合、ほぼ100%が治癒するが、遠隔転移を伴うステージ4の患者の5年生存率は約10%だ。がん検診などで早期に発見し、早期に治療をしようと勧めるのも合理的な判断だ。

ところが、白血病ではこのような概念はない。白血病が進行すると、骨髄が白血病細胞によって占拠されるために、赤血球・白血球・血小板などがつくれなくなる。この結果、息切れや出血、さらに感染症が生じるが、このような合併症があるからといって治癒しにくいわけではない。

白血病治療の予後を規定するのは、骨髄性かリンパ性かという白血球のタイプ、さらにそれぞれにおいて遺伝子や染色体の異常に基づく分類だ。タイプによって治療法は異なる。

急性前骨髄性白血病(APL)というタイプの白血病がある。この白血病は初発時に出血を生じやすく突然死しやすいことが知られている。脳など重要臓器に出血すれば突然死することもある。2000年に亡くなった格闘家のアンディ・フグ選手はAPLだった。

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