日本人の私がインドのベンチャーを育てる理由 現地で11社に投資、2号ファンドも立ち上げ

東洋経済オンライン / 2019年4月24日 8時0分

2018年10月に、インドの起業家8社を東京に招いて開いた「Portfolio Gathering」。日本の投資家やインド投資に関心のある事業会社とインドの起業家が昼食をともにしながら話し合った(写真:インキュベイトファンド)

インド発のベンチャー企業育成構想「スタートアップ・インディア」を推進し、ベンチャー企業育成に注力しているのが、中国と並ぶアジアの大国・インドだ。

人口は13億人と日本の約10倍で、日本の9倍近い広大な国土には想像を超える優秀な人材とビジネスチャンスが広がっている。起業家やベンチャーキャピタリスト同士の競争も熾烈。そんな激流の中に飛び込んだ日本のベンチャーキャピタル(VC)が、インキュベイトファンドだ。

2010年設立の同社は、シード段階(創業前後)に特化したベンチャーキャピタルとして国内最大規模の実績を誇る。インドにおいて、日本から独立したファンドを2016年8月に立ち上げ、これまで「ShopKirana」(小規模小売店向けサービス)や「GamingMonk」(eスポーツゲーム会社)など、インドのベンチャー企業11社に投資。今年4月には2号ファンドを立ち上げた。

人口減少と低成長が続く日本経済の成長戦略が問われる中、活力に満ちたインドのベンチャー企業やそのエコシステムの情勢は参考になるに違いない。

現在、インキュベイトファンド・インディアでジェネラルパートナーを務める村上矢(むらかみ・なお)氏にインドのベンチャー事情などを聞いた。

■日本の投資家はほとんどいなかった

――どういう経緯で、村上さんはインドで起業するに至ったのですか。

アメリカの大学を卒業し、新卒で野村證券グループに入社した。入社から一貫して日本のスタートアップ企業を担当してきた。その後、野村のニューヨーク拠点に赴任し、アメリカでも一貫してインターネット企業を担当した。

しかし、アメリカでの私のミッションはクロスボーダーのM&Aだった。投資銀行業務の本丸で醍醐味はあるが、僕自身はスタートアップ企業をアーリーステージから育てるのがすごく楽しかった。一念発起して辞め、大学時代の同級生と一緒にやろうということで、とりあえず2014年にインドに行った。

当時から僕が思っていたのは、インドには日本の投資家がほとんどいなかったこと。日系で活動していたのは(佐藤輝英氏率いる投資会社の)ビーネクストくらいで、一方でアメリカ系のベンチャーキャピタル(VC)はインド向けファンドをどんどん作り、投資活動をしていた。(この差は)何でだろうと思っていた。

――日本はいま、「ベンチャーブーム」と言われます。

日本はものすごくキャッシュがあって、ベンチャーブームっぽくなっているが、投資対象になる、すごくいい会社がたくさんあるかというと、そうではない。だから、日本の(あり余る)お金をインドに持ってきて、投資するのはもっとあっていいと思った。

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