あのシヤチハタが令和でも強い存在感放つワケ 業績は伸長、「印章の代名詞」であり続けたい

東洋経済オンライン / 2019年4月30日 7時40分

名古屋市西区にあるシヤチハタの本社社屋(写真:シヤチハタ)

5月1日から始まる「令和時代」。その1カ月前、4月1日に新元号が発表されると取材が殺到した企業がある。「印章」の代名詞であるシヤチハタだ。

「国内のメディアだけでなく、ニューヨーク・タイムズからも取材依頼を受けました。10日間で20社以上に対応し、電話も殺到。みなさん『新元号になるとシヤチハタはどう対応するのか』に関心があったようです」(広報部長の山口高正氏)

同社自身は、31年前の「平成」新元号時に対応経験は積んでおり、「令和」発表後に新元号に変更するスタンプなどの発注が動き出したという。「平成改元時と比べて、元号の改元時期がわかっていたことと、パソコンの普及もあり大きな混乱はありませんが、通常よりも注文は増えています」(同)

ちなみに、つい「印鑑」と言ってしまいがちだが、印鑑は「市区町村長などに届けておく特定の印影(押印)」を指し、はんこ本体は「印章」と言うそうだ。

■売り上げは過去5年で10%増

シヤチハタは、何度も押せるはんこや、黒や赤のスタンプ台といった印章事業で圧倒的なシェアを持つ。仕事用デスクの引き出しに同社の商品がある人は多いだろう。

とはいえ、ペーパーレス化やデジタル化、さらに少子化の進展で、今後の生き残りはどうなのか。創業家出身の4代目で2006年に社長に就任した舟橋正剛氏に聞いた。

「業績は手堅く、2017年3月期は売上高で約178億1000万円、経常利益で10億7600万円でした。決算期が3月末から6月末に変更した2018年度も、それに近い数字です」

「IT化、デジタル化で苦戦」と思いがちだが、業績は順調だ。実は舟橋社長への取材は5年ぶりで、当時の売上高は163億円。5年で約1割上乗せした。何が好調なのか。

「大ヒットした商品が牽引したのではなく、既存事業や新規事業で多様な取り組みを行い、小さな花が咲いた結果なのです。主力事業は『Xスタンパー』と呼ぶ、インキを内蔵したスタンプ台不要の浸透印で、中でも個人名のはんこを朱肉なしで押せる『ネーム印』が当社の代名詞です。スタンプ台インキの補充なども手堅い事業です」(舟橋氏)

後述するが、同社は1995年からパソコン上で決裁する「電子印鑑」も手がけている。だが好業績を下支えするのは、「ネーム印」に代表される既存事業の深掘りなのだ。

「ネーム印も、ボディを着せ替える商品をたくさん出しています、例えばスマホカバーのデコレーションを思わせる品もあれば、動物をモチーフした品もある。定番カラーを出し続ける一方で、使って楽しくなる訴求もしてきました」(同)

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