インド人が驚く日本の「ナン」独自すぎる進化 ホッピーもある「インネパ料理店」ってなんだ

東洋経済オンライン / 2019年5月6日 7時40分

バターチキンなどのクリーミーなカレーに、生野菜サラダ、そして皿からはみ出した巨大ナン。インド・ネパール料理店においては、標準的なナンの大きさだ(撮影:梅谷秀司)

インド料理店に行くと、こんな光景がよく見られる。ターリー皿(銀色の丸い大きな皿)の上に、バターチキンなどのカレーと生野菜サラダ。そしてその横には、ターリー皿からはみ出した巨大ナン。ところがカレーの本場・インドでは、こうした大きなナンはまず見られないという。なぜ日本のナンは、インドよりも大きくなったのか。その謎を解くカギが、近年激増しているインド・ネパール料理店、通称「インネパ店」にあった。

■ナンを見たことのないインド人も

そもそもインドでは、ナンという食べ物自体がそれほど一般的ではないという話をよく聞く。実際はどうなのだろう。インド食器輸入販売店「アジアハンター」店主でインド現地の事情に精通する小林真樹氏に話を聞くと、こんな答えが返ってきた。

「ナンは北インドやパキスタンの一部では日常的に食べられていますが、それ以外の地域では高級寄りのレストランで出されるくらいで、多くの庶民には身近ではありません。在日のインド人から『日本に来て初めてナンを見た』という話も何人からか聞いたことがあります」

ちなみに、写真のような日本のインド料理店で一般的なスタイルは、北インドの料理がルーツとなっている。ナン、バターチキン、タンドリーチキンといったメニューに代表される北インドのスタイルは、今や日本のインド料理店で広く“フォーマット化”している。

ところが、インドには北インド料理以外にも、南インドスタイルや、東インドのベンガルスタイルなど、土地によってさまざまな料理が存在する。多くはナンが主食ではない。にもかかわらず、日本にはなぜインドの一地方に過ぎない北インドのスタイルが圧倒的な主流となっているのか。

その理由は意外にもロンドンにあるというのが、南インド料理店「エリックサウス」などを展開する円相フードサービス専務の稲田俊輔氏だ。稲田氏はエリックサウスの全メニューの開発を手がけ、インド料理やカレー文化に詳しい。

「インドがイギリスの植民地だった時代、イギリス人駐在員たちは、現地インドの使用人がイギリス人向けにアレンジしたインド料理に親しみました。そして1947年のインド独立後、スパイス料理の魅力を知って本国に戻ったイギリス人に向け、今度はインドやバングラデシュの人たちがロンドンに移り住み、インド料理レストランを開いたんです」

ヨーロッパ人向けのレストランということで、そこでは肉をメインとしたカレーやタンドール料理、そしてパンに趣が近いナンという、いわゆる北インドの料理をベースとし、さらにそれを食べやすくアレンジしたスタイルが定着します。その後、当スタイルはインターナショナルインド料理として各国に広まり、逆輸入の形でインドにも入りました。そうして伝播した国々の一つに、日本もありました」

■日本での進化を担った「インネパ料理店」

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