高まる「嫌韓」、対韓強硬論にこれだけのリスク 事態を打開するには「日韓首脳会談」しかない

東洋経済オンライン / 2019年6月12日 8時0分

2018年5月、来日した韓国の文在寅大統領(左)を官邸で出迎えた安倍晋三首相(写真:時事通信)

日本国内に「嫌韓」「反韓」の空気が強まってきている。

従軍慰安婦合意の一方的破棄や、元徴用工に対する日本企業の賠償を認める韓国・大法院判決など韓国側の一連の対応は、これまで日韓両国政府が長年にわたってつくり上げてきた外交的資産を一方的に壊している。

ところが、日本側の空気がここにきて急に変わってきた。

■自民党内で噴き出す韓国への不満

昨年までの日本社会の反応は「一体、韓国はどうなっているんだ」という驚きとともに、「これから韓国はどうするつもりなのか」と冷静に様子を見る姿勢が強かった。一部のメディアを例外にすれば、韓国批判はそれほど強くなく、かつてのように「嫌韓本」などが書店の店頭をにぎわすこともなかった。

しかし先日、岩屋毅防衛相が韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相と会談した際に笑顔で握手を交わすと、自民党の部会などで「怒りを禁じえない」「相手に変に利用されてはダメだ」などという批判のほか、「辞任すべきだ」などという極論が出た。それまで抑えていた韓国に対する不満が、一気に噴き出したかのようだ。

6月下旬に大阪で開催される20カ国・地域首脳会議(G20サミット)出席のため文在寅大統領が来日するが、その際、通常であれば予定されるはずの日韓首脳会談について、「やるべきではない」という声も広がっている。戦争状態にあるわけでもないのに、隣国のトップ同士が会談をすべきでないという空気が広がるのは尋常なことではない。

政府内の空気も韓国に対して正面から向き合うことを避けようとしている。外務省などの幹部は筆者に対し、「韓国については、国際法や条約などに基づいて必要な手続きを淡々とやるだけだ。それ以外は無視する」と異口同音に話す。

日本政府は元徴用工問題について日韓請求権協定に基づいて仲裁委員会設置を提起した。韓国の拒否で仲裁委員会が設置できなければ次の手段として国際司法裁判所への提起を進める。外交的協議は脇において、手続き的に可能な手段を講じる、相手が折れるまで圧力をかけ続けるというのだ。

確かに韓国政府は元徴用工問題や慰安婦問題について何の対策も打ち出そうとしていない。それを受けて日本政府は「韓国側の対応を促すには、対話ではなく圧力しかない」という方針のようである。

■官邸主導のトップダウン方式外交に変化

「対話より圧力」はかつて安倍首相が北朝鮮政策でよく使った言葉である。冷戦時代のソ連、あるいは外交的パイプが存在しない北朝鮮のような国を相手とする場合ならともかく、人的、経済的関係が深く、体制も同じ日韓のような国を相手に「対話」を棚上げにするのは異常だ。

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