高まる「嫌韓」、対韓強硬論にこれだけのリスク 事態を打開するには「日韓首脳会談」しかない

東洋経済オンライン / 2019年6月12日 8時0分

日本は戦後長らく、日米や日中、日韓関係など主要国との外交について、外務省を中心に情報を集めて政策を企画立案し、首相や大臣に提起して決める「ボトムアップ方式」で展開してきた。しかし、最近は「政治主導」が外交にも強く反映され、とくに安倍首相は日ロや日中、日米関係など重要な外交を官邸主導の「トップダウン方式」で進めている。

5月7日、北朝鮮との外交について安倍首相が「条件を付けずに向き合わなければならないという考えだ」と突然表明したのはその典型例の1つだ。事前に何も聞かされていなかった外務省は大慌てだったという。

韓国に対する方針も例外ではなく、安倍首相の強い意向が反映されている。慰安婦合意は10億円を出すことを安倍首相が最終局面で決断し、合意にこぎつけた。ところが韓国政府は、朴槿恵大統領から文大統領に政権交代すると、あっさりと反故にしてしまった。

元徴用工判決については韓国政府が対応策を検討すると表明しながら、「民事の問題であり政府が関与すべきことではない」(文大統領)などとして何も打ち出そうとしない。その後も自衛隊機へのレーダー照射事件など日本に対する挑発的な行動が相次ぐ。安倍首相が裏切られたという思いを強くすることは想像にかたくない。それゆえの「韓国無視」であろう。

■韓国の外交政策は秘書官集団が決める

「トップダウン方式」という点では韓国も同じだ。韓国は「帝王的大統領制」と言われるほど大統領に権力が集中している。外交政策も大統領の判断が力を持ち、日本以上に大統領中心で物事が決められている。

ところが韓国外交部幹部に聞くと、外交部の次官や局長らはもちろん、康京和(カン・ギョンファ)外相でさえ、文在寅大統領に会うことは難しいという。外交政策に関する文大統領の相談相手は、専門家集団である外交部ではなく、民主化運動の元闘士らが多くを占める大統領府の秘書官集団だという。彼らは日本を含め各国大使館関係者にもほとんど会わないといわれている。筆者も一度、面会を求めたことがあるが、「外国人と会うことは自分たちの職務ではない」と断られたことがある。

彼らが日韓関係の深刻さをどれだけ理解しているかはわからない。少なくともこれまでの文在寅大統領の言動を見る限り、大法院判決の重みや慰安婦合意の破棄がもたらした深刻な状況を十分に理解しているとは思えない。そして、日本にとっても文大統領や取り巻きの秘書官らが対外政策についてどういう戦略を描いているのか知ることが難しくなっているのだ。

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