「ポツンと一軒家」が圧倒的な支持を集める理由 視聴率20%突破!「イッテQ」や大河を凌駕

東洋経済オンライン / 2019年6月12日 18時0分

どちらのエピソードも、自らの人生観を絡めて考えさせられるうえに、夫婦や親子で話し合えるもの。東洋経済オンラインでも「孤独死」「老後や介護」などがテーマの記事がアクセスランキングの上位に入るように、孤独や高齢層の生き方は、当事者のみならず幅広い層にとっての関心事です。

「老後資金に2000万円」という金融庁の試算が物議を醸し、16日(日)にNHKが「どう分かち合う 夫婦の老後」というドキュメンタリー特番を放送することからも、長くなる一方の老後に対する注目が高まっているのは明らか。つまり、「ポツンと一軒家」は、そんな現在の視聴者感情をくみ取った番組だから支持されているのでしょう。

■「幸せとは何か?」に対する答え

見逃せないのは、現代の視聴者を癒やすような番組の世界観。

9日の放送でも、山奥での暮らし、結婚と跡継ぎ、老老介護などの難しさでシビアなムードを漂わせつつも、住人の「それでも幸せ」と言う笑顔や、取材スタッフに対する優しさに癒やされる視聴者が多かったようです。

取材スタッフからあいさつされた中武五月さんは、「よう来なさったですね……」と感極まった表情で言葉を返し、家の中へ招いてくれました。さらに、息子の中武祝亮さんは、「ご飯、食べていってください。何もないけど。カメラマンさんも食べてください」と食事を勧めてくれたのです。

一方の中武ヒデ子さんは、1年前からの一人暮らしにも「寂しくないです。わが家ですから」。嫁いで52年が過ぎた今思うのは「ここへ来てよかった。何の不自由もないですから」と明るく話していました。夫が病に倒れて棚田が荒れ果て、飼っていた牛を手放し、自身も電動車椅子が欠かせない生活になっても、「前向きに。これでいいんだって。『天才バカボン』のお父さんと一緒で」と笑っていたのです。

そのほかのシーンでも、スタッフが目的地のポツンと一軒家を探す道中、快く道を教えてくれる人が多く、なかには「私たちでも迷うくらいだから」と言って車で先導してくれる人もいました。

一部の人々から見たら不安と不満だらけの不便な暮らしも、そこに生きる人々の穏やかな表情が、「幸せとは何か?」という問いに対する何よりの答えに見えます。その意味では、「田舎暮らしだからこそ育まれる人間の優しさや温かさを視聴者が分けてもらう」という番組なのかもしれません。

日々、テレビやネットで殺伐とした事件・事故のニュースに触れることの多い現代人は、ポツンと一軒家に住む人を見て、「自分たちが当たり前と思っていることのすばらしさ」を感じているのではないでしょうか。とくに元気で明るく、苦労を苦労として感じさせないお年寄りたちは、私たちが忘れかけている古きよき日本人の姿に見えるのです。

■スタッフの謙虚な取材スタンスに好感

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング