「ポツンと一軒家」が圧倒的な支持を集める理由 視聴率20%突破!「イッテQ」や大河を凌駕

東洋経済オンライン / 2019年6月12日 18時0分

もともと同番組は、「本当に家があるのか?」という辺境地を冒険するようなエンタメ性が魅力の1つでした。「ふもとでの聞き込みから、けもの道や断崖絶壁の道を進み、やっとたどり着いた」という厳しい過程を経ることで、「そこに住んでいるのはどんな人なんだろう?」という興味を高めていく構成の番組なのです。

そんな一連の流れは、視聴者に「足を使った地道な努力であるうえに、うそがなさそう」と感じさせるもの。放送作家による創作や台本ではなく、テレビ画面からドキュメントが持つ本物の力を感じているのでしょう。

つねにライバル番組として挙げられる「イッテQ!」もドキュメント要素が高い冒険バラエティーですが、こちらは芸人たちのキャラクターや演出をベースにした構成。笑いの手数が多い反面、やらせ問題が発生した背景もあって、「キャラ重視」「演出過多」と感じる人がいるのも事実です。

ただ、「ポツンと一軒家」はドキュメントを重視したバラエティーで、「イッテQ!」はバラエティーを重視したドキュメントという違いがあるだけで、「どちらが優れている」という差はありません。多様性が必要なテレビ業界にとっては、「タイプの異なる2つの番組が同じ時間帯に放送され、視聴者に選択肢を提供できている」という望ましい状況と言えるのです。

■視聴者にとっての太陽と言える番組

このところ、高齢者自身の事故や事件、あるいは高齢者施設での殺人事件などが相次いで報じられました。高齢者をめぐる報道がダークなものに偏りがちな中、「ポツンと一軒家」の存在は希望の光にも見えます。高齢者の社会参加や活躍が求められている背景もあるだけに、同番組での生き生きとした姿は1つのモデルになるのではないでしょうか。

振り返れば2010年代は、民放各局が「イッテQ!」と大河ドラマに対抗すべく、さまざまな新番組を仕掛けてきましたが、「まったく歯が立たずに打ち切り」という顚末を繰り返してきました。その点、世帯視聴率という1つの数値にすぎませんが、両番組を上回ったのが「ポツンと一軒家」だったことが示唆に富んでいるのです。

「思う存分笑わせる(イッテQ!)」や「壮大な物語(大河ドラマ)」に対する、「考えさせて癒やす(ポツンと一軒家)」という図式は、まさに北風と太陽。少なくとも現時点での視聴者は、太陽のような番組を望んでいる人が多いのでしょう。

一部で「ポツンと一軒家が尽きるまでの命」「焼畑農業のようなもので先はない」と同番組を揶揄する声がありますが、毎週2人ずつ年間50週放送したとしても100人にすぎず、今後数年間は心配ないような気がします。

取材の労力はさておき、「スタッフが行う国内ロケのみ」「スタジオのタレントも4人程度」のローコストという長所もあり、しばらくは日曜夜の看板番組として放送され続けるでしょう。

木村 隆志:コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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