人生100年時代には「人間とは何か」が問われる 「リンダ・グラットン×小泉進次郎」特別対談

東洋経済オンライン / 2019年6月13日 8時0分

『ライフシフト』は33万部のベストセラーになっている(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

小泉進次郎衆議員議員は、2019年4月、自民党厚生労働部会で「新時代の社会保障改革ビジョン」を発表し、人生100年時代に向けた政策提言を行った。

「社保改革の第三の道(リバランス)の推進」「『現役世代』『高齢者』の概念見直し」などが盛り込まれたこの提言について、『ライフシフト 100年時代の人生戦略』の著者で、英ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏はどう考えるのか。

6月5日、グラットン氏の来日によって実現した2人の対談は、政府の役割、経済界に必要な理解のほか、「人間と何か」という根源にまで深まった。

■『ライフシフト』が日本社会を変えた

――小泉議員の提言は、「ライフシフト社会保障改革」とも言える踏み込んだ内容でした。今年5月にはアメリカ・ワシントンのシンクタンクで「人生100年時代は、日本のニューフロンティアになる」とのスピーチもされました。

小泉進次郎(以下、小泉):『ライフシフト』は、1冊のベストセラーにとどまらず、日本の社会を変えていくインパクトがあったと思います。僕はいま、社会保障改革を実際に動かす立場にあり、厚生労働部会長として取りまとめた政策を、政府方針にしていく作業をやっていますが、これが形になりそうなところまできました。

今回の提言では、「リバランス」という言葉を使っています。社会保障改革には、これまで2つの道がありました。第1の道は、社会保障サービスをカットする給付の削減。第2の道は、消費増税などの負担拡大。

しかし、人口構成も含めて極度にバランスの崩れた状態になっている日本では、バランスを正していく第3の道「リバランス」が必要です。具体的には、多様化した生き方に合わせられるように、また、長く働くことを応援するために、より多くの選択肢を国の制度の中に入れていきます。

象徴的なのは年金です。日本の公的年金制度は、現状、60歳から70歳まで、いつ年金を受け取るかを国民が選べるようになっています。60歳で受け取ると、65歳で受け取るよりも30%カットになる。逆に70歳まで待つと、65歳と比べて42%アップする。今回これをさらに拡大することを政府に提言し、その方向で制度設計を進めることになりました。例えば、60歳から75歳まで選べるようにすると、65歳で受け取るよりも8割以上、増額できる可能性が出るわけです。

また、日本は世界と違って、仕事はあるけど人はいない国。労働力不足です。しかし日本には、「これ以上働いてしまうと扶養控除が得られない」など、働く時間を抑えるよう促してしまう制度があります。働きたい人は気にせずに働けるようにするべきです。それを阻む壁は撤廃していきます。

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