人生100年時代には「人間とは何か」が問われる 「リンダ・グラットン×小泉進次郎」特別対談

東洋経済オンライン / 2019年6月13日 8時0分

リンダ・グラットン(以下、グラットン):すばらしい提言ですね。労働については、現在、企業も政府も働き続けることを支える環境を提供できていないと言えます。とくに、長寿化し、なおかつテクノロジーの変化が激しい日本のような環境では、人生の中に多くの選択肢を持っていることがとても大切になるでしょう。その選択肢を作るうえで大きな役割を担うのが、政府です。

グラットン:小泉さんの「リバランス」という言葉はとくに興味深いですね。これまでの時代、リソースとして重要視されていたのは「お金」でした。しかし、長寿化社会で大切になるのは「時間」です。つまり、時間をどう使うのかという決断が非常に重要になるわけです。政府は、国民が時間をバランスよく使ってゆくための手助けをしなければなりません。

■「長く働く」は、「悪いニュース」なのか

――『ライフシフト』は発売後4年が経ち、現在も世界各地でベストセラーになっていますが、各国の状況はいかがでしょうか?

グラットン:『ライフシフト』の共著者であるアンドリュー・スコット氏とともに、イギリスの財務省に呼ばれて、70歳、80歳まで働くとはどういうことなのかと聞かれました。

この手の話は、有権者にとって印象が悪く、政治家は話しづらいものですよね。でも、私たちが直面する現実なのだから、きちんと伝えなければならないとお答えしました。アメリカでもこの話をしましたら、報道関係者から「なぜそんな悪いニュースを話すのか」と言われました。ですが、これは伝えるべき現実なのです。

小泉さんが年金についてお話しされましたが、多くの国の年金は、日本と同じく退職後10年ほど生きるという想定で制度設計されています。定年後30年間生き続けるという時代になれば、あらゆる国の年金制度がたちゆかなくなるでしょう。

イギリスでは、55歳以上の人が職を失うと、再雇用されるのはかなり難しい状況にあります。個人レベルだけでなく、企業側の支援としても考え尽くさなければならないと思います。

生涯教育についても、もっと話題にする必要がありますね。アメリカのビジネススクールや世界経済フォーラムでも話しましたが、人々の長命化が進み、非連続の変化が起き続ける状況のなかでは、たびたび再教育を受けなければ、長い時間を生き抜くことは難しくなります。世界各国の政府は、年金だけでなく、長く働く時代になるという現実と生涯学習の必要性、この2つをもっと議題に上げなければなりません。

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