人生100年時代には「人間とは何か」が問われる 「リンダ・グラットン×小泉進次郎」特別対談

東洋経済オンライン / 2019年6月13日 8時0分

小泉:何がファクトで何がフェイクか、これをジャッジするのが非常に難しい時代です。政治でさえも本当のことを言っているのかが問われている。そんな中で、たとえ厳しいことでも正直に語っていくことですね。でも、多くの人は、苦しい話なんて聞きたくないんですよ。だから政治家も語りたがらない。

■「人間とは何か」が問われる時代

小泉:僕には、政治家として絶対に忘れてならないことがあると考えています。それは、どんなに理論上正しいことでも、人の気持ちが動かなければ、絶対に動かないということ。だからつねに考えるんです。どのように届けたらいいのか。

グラットン:人間であるということは、未来へ向けての物語を持っているということでもありますからね。そして人間は、学ぶこと、探索することを求めます。子どもに限らず、人生を通して学んでいく。そこに人間と他の動物との違いがあるわけです。

そしてもう1つ大切なこと、それは、人間が他者とのつながりを持っていることです。家族、地域コミュニティーなどとのつながりですね。移行の時代においてこそ、そのつながりは重要になってくるでしょう。

世界では、日本の女性はあまり働いていないと思われていますが、それは誤解ですよね。どんどん職場に進出している。ただ、そこで単に社会に出るというだけではなく、家族や地域コミュニティーがきちんと機能するように制度設計をする必要があると思います。その点で、日本企業が果たせる役割はとても大きいですね。

私は、もっと企業が、人間は家族の一員であり、コミュニティーの一員であるのだという理解を深め、時間の再分配についてよく考える必要があると思っています。しかし、日本の企業の変化はあまりに遅すぎます。

小泉:僕もそう思います。65歳、70歳まで企業が抱え込んで、「退職おめでとう、お疲れさまでした」と手放されるのは厳しい。人生80年ならその後は年金で暮らせましたが、もうそういうわけにはいかない。いままでの幸せが、いまの不幸せにつながっているところがある。ぜひ経済界のみなさんにも、国が進めている人生100年時代への大きなシフトについて、一緒になって考えていただきたいと思います。

グラットンさんがおっしゃる「人間とは何か」に通ずることですが、僕は、みんなが「Who are you(あなたは誰ですか)?」と問われている時代だと思うんです。

選択を力に変えられるのか、それとも、選択を恐れて過去にしがみついてしまうのか。変化を前向きに捉えられるかどうかのカギは、「自分は何をしたいのか」を自分自身がしっかりわかっているかどうか、ではないでしょうか。

僕は、日本を変革の国にしたい。人口減少と人生100年時代を強みに変え、22世紀に向けた変革にスピードを上げて挑んでいきたい。

泉美 木蘭:作家・ライター

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