フジテレビ、社長交代で「真の復活」果たせるか 制作大改革で劇的回復、次なるカギは視聴率

東洋経済オンライン / 2019年6月13日 7時10分

業績が順調に回復してきたフジテレビだが、一層の成長にはまだ課題も少なくない(写真はお台場の本社ビル、撮影:今井康一)

「社長としてのミッションはシンプル。フジテレビの視聴率を回復させ、その結果としての業績をさらに上げることだ」

6月7日、フジテレビと親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)は社長交代会見を開いた。6月末の株主総会を経て、フジテレビの社長には同社の遠藤龍之介専務、HDの社長には同社の金光修専務が就任する。遠藤氏は冒頭のように淡々と新社長としての抱負を語った。

2017年にテレビとHDを兼任する形で就任した宮内正喜社長の下、フジテレビの業績は大きく回復した。2017年度の決算は6期ぶりに営業増益に転換し、2018年度は前年度比で2倍以上に急増した(下図)。

長寿バラエティー番組「めちゃ×2イケてるッ!」と「とんねるずのみなさんのおかげでした」の終了に象徴される番組編成改革や、制作現場をはじめとする徹底したコスト削減が功を奏した形だ。さらに『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』などの映画の大ヒットが後押しした。

■視聴率回復はまだ「道半ば」

とはいえ、肝心の視聴率は復活したとはいえない。2018年度のゴールデン帯(19~22時)は8.1%と前年度から0.3ポイント改善させたが、日本テレビ(11.9%)、テレビ朝日(10.5%)、TBSテレビ(10.0%)に次ぐ4位に甘んじたまま。トップ3の背中が近づいたとはいえない。宮内現社長は5月の決算説明会で、「改善の兆しは見えているが、まだ道半ば」と評している。

遠藤新社長は、「かつて時代の心をきちんとつかんでいたわれわれが、ここ数年その動きについていけなくなったのは否めない。長寿番組を打ち切らざるをえなかったのも1つの表れだろう」と振り返りつつ、「ただ昨年からはトライアンドエラーを繰り返しながら挑戦している。昨年後半から数字が上向いているのも、その兆しではないか」と語る。

収益には少しずつ結び付きつつある。今年4月のスポット広告収入は前年比3.6%増となった。関東地区全体では前年を下回る中、シェアアップを実現。この背景には広告主の視聴率の捉え方の変化もある。

ここ数年、テレビ業界で重視されるようになったのが、個人視聴率だ。一般に公表されているのは世帯視聴率で、テレビを所有する世帯のうち、番組をリアルタイムで視聴した割合を示すもの。一方の個人視聴率は一般には非公表で、世帯の中で誰がどのくらいテレビを視聴したかを示す数値だ。

この中でも広告主が注目するのが、10代前半~50代後半の男女の個人視聴率だ。ある民放キー局関係者は、「これらの世代の個人視聴率に限ると、日テレ、フジ、TBSの順になっている」と明かす。消費意欲の強い世代に効率的に広告を打ちたい広告主のニーズに合致していれば、世帯視聴率と広告収入は比例しない。視聴層が比較的若いフジテレビには追い風だといえる。

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