日産株主総会、「ルノー棄権」で手詰まりの懸念 総会混乱は日産のマネジメント不足に原因

東洋経済オンライン / 2019年6月18日 8時0分

43%の議決権を持つルノーが実出席せず、委任状も出さず、議決権行使書面も出さないというのであれば、日産は残り57%の株主のなかから、実出席、委任状出席、議決権行使書面の提出などで定足数を確保しなければならない。この要件を満たすのはかなり難しい。また、定足数を満たせたとしても、ルノー以外の株主で3分の2の賛成を確保する必要がある、それは難しい。

ルノーが実出席したうえで2号議案について棄権した場合、定足数を満たすことができるが、3分の2の賛成を得ることは不可能だ。つまり、ルノーの賛成を得ない限り、2号議案は通らない。

■ルノーとの念入りな意見調整が必要だった

――日産は西川廣人社長名で「コーポレートガバナンス強化の動きに完全に逆行するもので、誠に遺憾」という声明を出しました。総会直前に棄権を持ち出すのは日産に対するルノーの「揺さぶり」でしょうか。

メディアも含めて誤解があるようだが、そもそもルノーは敵ではない。1999年に日産が危機に陥ったとき、第三者割当増資をルノーに引き受けてもらった。そのことで日産は救われた。それ以降、長く一緒にやってきたパートナーだ。

現行の監査役会設置会社から指名委員会等設置会社に移行するということは、会社のガバナンスにかかわる大問題。パートナーと念入りに意見調整して、万全の構えで移行すべきことだ。それなのに総会の2週間前に実は賛成できないとルノーに表明されたということは日産のマネジメント不足にほかならない。

これが敵対的買収で乗っ取りにかかっているなら話は別だが、ルノーはそうではない。ルノーが敵対的に揺さぶりをかけてきて、日産が押し返してというニュアンスの報道を見るが、本質的にそれは違う。一般株主の眼からすれば、日産を信頼して株を買っているのに、総会直前になって大株主ともめているのは「困ったこと」として映るのではないか。

――2号議案が成立しなかった場合、それを前提としている3号議案(取締役11人の選任)の扱いはどうなりますか。

監査役会設置会社から指名委員会等設置会社に移行すると、自動的に全取締役が任期満了になるという規定が会社法にある。2号議案が成立すると、監査役も退任となり、取締役は任期満了になるので、新しい取締役を選ぶという流れになる。

しかし、定款変更の2号議案が不成立となると、監査役会設置会社のままになる。退任する予定だった監査役4人は続投することになり、日産としては会社提案を修正して、「監査役会設置会社としての取締役候補11人を提案する」ことが考えられる。ルノーが賛成すれば可決する可能性は高い。ただし、「指名委員会等設置会社への移行を前提としての取締役選任議案だったはずであり、そうでなければ無効だ」と一般株主から訴えられるリスクもある。

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