課題先進国日本の「人生100年時代の社会契約」 「やってみなはれ」精神で少子高齢化を考える

東洋経済オンライン / 2019年6月19日 7時10分

サントリー文化財団40周年記念国際シンポジウム「高齢化社会はチャンスになりうるか」の模様(写真:サントリー文化財団)

高齢化が進み、経済停滞と公的債務に苦しむ現在、日本はかつての栄光を失い、このまま衰退の道を歩むのではないかとの悲観的な声も聞かれる。しかし逆境の時こそイノベーションを生み、従来の慣行を改革し、より幸福な社会の実現に取り組むチャンスであるともいえる。世界に先駆けて超高齢化社会を迎えた日本の取り組みは、ほかの国の先例としても重要な意味を持つのではないか。このような問題意識のもとで、去る5月17日に国際シンポジウム「高齢化社会はチャンスになりうるか」(サントリー文化財団主催)が開催された。内外の識者が討議した当日の模様(動画はこちら)を、司会を務め、このほど著書『越境の国際政治』を上梓した田所昌幸氏がレポートする。

■少子高齢化のフロントランナー「日本」

人口問題といえば、これまでの歴史では人口過剰が問題にされた時代のほうが圧倒的に長かっただろう。経済学の世界では、マルサスは生産量が増えてもそれが直ちに人口増に結び付くので、1人ひとりの生活は常に飢餓線上の水準にとどまると教えていた。

社会学の世界では、人口増に伴って厚くなる若年層、とりわけ都市部に住む若年失業者層が、テロリズムを初めとする政治的過激主義の温床となるとするユースバルジ論がある。

私の専門とする国際政治学の世界でも、「人口圧力」が領土拡張主義につながるとされたことは、それほど昔ではない。また環境問題との関連では「人口爆発」の危険も語られてきた。

日本でも明治初めには現在の3分の1にも満たない3300万人程度だった人口が後の70年間で倍増し、1940年には7000万人を超えた。

大陸への領土拡張が敗戦によって逆転した日本は復員者や引き揚げ者が流入したうえに「団塊の世代」となる人々が多数誕生するベビーブームが起こったため、1950年までの5年間で人口が1000万人以上急増することになった。

それでもその時点の総人口は8300万人に過ぎないが、日本の国土は狭いから人口抑制が必要だ、というのが当時の常識的な見解だった。だがその後も日本の人口は増え続けて、1億2800万人のピークに達したのは2008年で、その後緩やかに減少し始めている。

そして今日では「少子高齢化」が問題とされている。人口減少と高齢化が、日本の経済的・政治的衰退につながるとする半ば宿命論的な悲観論がよく語られている。

もっとも、少子高齢化は日本に限られた現象ではない。ヨーロッパの大陸諸国でも広く見られる傾向だし、また東アジアの日本周辺の諸国でもこれが急速に進んでいて、韓国や台湾では出生率は日本よりも一層低いくらいである。

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