アップル「スマホ値引き規制」に抱く強い危機感 今後iPhoneは「定額制」になるかもしれない

東洋経済オンライン / 2019年6月25日 8時0分

アップルにとっては、買い換え周期が長期化していく中で、毎年iPhoneを買い換えるユーザー層を開拓することにつながる。こうした仕組みを、日本のApple Storeや量販店、代理店などを通じて提供することができる。端末の販売主体が通信会社ではなくなる点は、通信サービスと端末の分離の観点からもよいかもしれない。

またアップルは資源リサイクルを進める環境施策として、「Apple Trade In」プログラムを日本でも提供している。例えばApple StoreでiPhoneを購入することを条件に、iPhone X 256GBの場合最大58600円で下取りを行っている。こちらも、通信事業者ではないアップルによるサービスであるため、先述の2万円という制限に関係なく、有利にiPhoneを乗り換えられる。

もう1つは、価格戦略だ。併売されているモデルの販売をより延長して価格を下げていくことで、iPhoneの格安モデルをラインナップするという戦略を採ることができる。言い方は悪いが、iPhoneに対してまだ値下げ余力が大きく残っているということだ。

しかも、ソフト開発面で、そうした施策を支援できる「秘策」が盛りこまれていることにも注目だ。

秋に公開されるiPhone向けの最新ソフトウェアiOS 13で、アプリ起動の高速化、最大半分までのアプリサイズの縮小を実現する。プロセッサが最新モデルよりも劣り、保存容量も小さな過去のモデルでは、アプリの実行速度を向上させ、またよりたくさんのアプリを保存できるようになる。現在約5万円で併売されている2016年モデルのiPhone 7を、2019年の秋以降もさらに値引きしてラインナップに残すことで、競合に対抗できるiPhoneを用意することができる。

もしこのようなプランが現実化し、アップルから低価格端末をラインナップに残す施策を引き出すことができれば、総務省の施策はある種「成功」と見ることができる。ただし、もしiPhoneの勢いを止めようという意図があるなら、それは成功しないだろう。

3年前のiPhone 7でも、処理能力は依然として高く、実効速度やプライバシー性能を高めた最新ソフトウェアが利用できるアドバンテージは最新端末として共通だ。そして日本では人気となったブランドもある。iPhoneの値下がりが引き出されれば、Androidスマートフォンにとっては、より厳しい状況に追い込まれることになる。

松村 太郎:ジャーナリスト

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