非上場「ぺんてる」株主総会が注目される全事情 業界最大手コクヨが介入、再編含みの展開も

東洋経済オンライン / 2019年6月25日 7時10分

東京・日本橋小網町にあるぺんてる本社。6月26日に同所で開かれる株主総会が注目を集めている(記者撮影)

「今回の(株主)提案が通るようなことがあれば、(略)会社の存続そのものを危うくしかねない」

「お陰様で私もすでに数えで98歳の老爺、ぺんてるは私の人生そのものでございます」

6月中旬、筆記具4位・ぺんてるの株主にこんな内容の手紙が送られた。送り主は、元ぺんてる社長の水谷壽夫氏。そこには和田優・現社長の添え書きもあった。「(手紙の内容は)弊社取締役会の方針とも一致しておりますので、株主の皆様にぜひともご一読いただきたく、ご案内させていただきます」。

■突然登場したコクヨ

ぺんてるが揺れている。6月26日に開かれる株主総会で、ある1人の株主が、1株2000円での自社株取得を内容とする株主提案を出している。ぺんてる経営陣からすれば、「会社の存続を危うくしかねない」提案だ。

ぺんてるは株式を上場していない。しかもすべての株の譲渡には、取締役会の承認が必要という条件が付されている。そんな閉鎖的な会社の株主総会がなぜ注目されるのか。

5月10日、文具業界最大手のコクヨは「PI投資事業有限責任組合」の組合員としての持ち分すべてを101億円で取得したと発表した。投資ファンド、マーキュリアインベストメントが管理運営するこの組合は、ぺんてる株の37.45%を保有する同社の筆頭株主。つまり、コクヨは同組合を通じて、ぺんてる株を間接保有することになった。

不意打ちを食らったのが、ぺんてる経営陣だ。コクヨの発表を受けて開かれたぺんてる社内のテレビ説明会。画面に現れた和田社長は「一方的な行いは極めて遺憾。青天の霹靂だ。会社としての独立性は今後も維持する」と、手に握る文書に目を落として読み上げるのが精いっぱいだった。

マーキュリアがぺんてるの筆頭株主になったのは、2018年1月。創業家出身の堀江圭馬氏から保有株を買い取ってからだ。マーキュリアは、今回なぜコクヨを引き込んだのか。マーキュリアのCIO(最高投資責任者)で、ぺんてるの社外取締役を兼ねる小山潔人氏は東洋経済の取材にこう話す。

「コクヨが持つ中国、インドでの販売網と連携することが、ぺんてるの将来の事業成長に資すると考えた」。例えば中国の文具市場規模は、2018年に約3600億円と、日本市場の約3.6倍。しかも年率約8%で成長している。コクヨはこの大市場に着々と販売網を築いている。欧米には強いぺんてるだが、今後の成長を考えるとアジア市場の強化は不可欠。そうした提携をコクヨと進めるために、投資組合を売却したというわけだ。

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