買い替え時にひと工夫、定期券の「ケチケチ術」 通勤だけでなく休日の外出にもうまく使おう

東洋経済オンライン / 2019年6月27日 8時0分

定期券の買い方を工夫すると日々の交通費を節約できる(写真:Graphs/PIXTA)

乗車券や特急料金を節約する(ケチる)過去3回の記事、大変なご好評をいただきありがとうございます。当初は「特急料金」「新幹線」「乗車券」と3部作で終わらせるつもりだったが、今後もいい話があれば紹介していきたいと思う次第である。

さて今回のテーマは、そろそろ新社会人の皆さんにとって買い替えのタイミングが来るであろう「定期券」である。定期券も買い方次第では、会社から定期代が出ている方は通勤以外のお出かけのときにお得になるし、交通費が自腹、または交通費込みでの給与設定の会社にお勤めの方なら普段の通勤交通費が節約できる。

■区間をちょっと延ばしてみる

お出かけのとき、普段使っている定期券区間があと1駅長ければ初乗り運賃を払わなくてよかったのに!という経験がある方は結構多いのではなかろうか。こういったことが週に1回以上ある人は、定期券区間を延ばしたほうがお得なケースがある。厳密に実際の通勤区間通り定期券を買っているかをチェックする会社に勤めているのでなければ、やってみてもいいのではないか。

実際、定期券は区間によっては追加出費なしで延長できるケースもある。例えばJRの横浜―新橋間と横浜―東京間は同額(1カ月1万3900円)だ。

数駅なら月に数百円程度の追加で延長できることも多い。例えば東急東横線沿線の人なら、渋谷方面へ通勤し、時々横浜へ出かけるということも多いのではないだろうか。仮に菊名―渋谷間・1カ月9250円の定期券を横浜―渋谷間に変えても9910円で、差額は660円。菊名―横浜間154円(ICカード運賃)を月5回以上乗れば元が取れる。

東京メトロだともっと少ない差額で延長できる。丸ノ内線荻窪―中野坂上間(1カ月6980円)を通勤している人なら、荻窪―新宿三丁目間(1カ月7320円)に延長すれば、新宿へ行く場合はもちろん、新宿からJR各線、新宿三丁目から都営新宿線に乗り継ぐといった際も便利だ。

しかも追加額は1カ月わずか340円なので、切符の運賃で考えれば月1回新宿へ往復するだけで元が取れる(中野坂上―新宿三丁目:片道170円)。週1回新宿に往復するなら1000円もお得だ。

東京メトロと都営地下鉄は「全線定期券」というものを販売している。その名のとおり全路線に乗れる定期券だ。私も買ってみたいと思ったことはあるものの、外回りの多い営業の仕事でもない限り、誰がこんなものを使うのかと思っていた。

だがある時、都営地下鉄大江戸線の西新宿五丁目―大門―勝どきの定期(1カ月1万0550円)を購入したうえで、さらに都庁前―東新宿間も時々乗れるようにもう1枚定期券を買うといくらの追加になるか計算してみると、その額は7080円だった。両方を合わせると計1万7630円。ここで気づいた。都営地下鉄の全線定期券(1カ月1万5210円)のほうが2420円も安い! しかもどこでも乗れる。

つまり、T字状の乗車経路で2区間以上の定期券が必要な人は全線定期を買ったほうがお得になるケースがあるということだ。ちなみに東京メトロ全線定期は1カ月1万7300円。6カ月用を買えば1カ月あたり1万5570円となりさらにお得だ。

■24時間券は「丸1日以上」使える

東京メトロが発売している24時間乗り放題の切符「東京メトロ24時間券」(600円)。従来あった1日乗車券は何時に使い始めてもその日の終電までしか使えなかったが、これを使用開始から24時間有効に変えたものだ。日をまたいでも24時間使えるので、夜買っても翌日の夜まで使うことができる。

では、24時間経過前に入場し、24時間超過後に改札を出るとどうだろうか。実は有効時間内に入場さえしてしまえば、時間が過ぎていても出場できる。これは東京メトロ公式サイトの「よくある質問」にも書かれている。実際、24時間以内に入場すれば、2時間超過した後でも改札を出ることができた。

また、乗り換えのためにいったん改札を出なければならない駅を通る場合でも、最初の入場が24時間経過前で、かつ30分以内に乗り換えることを条件に24時間超過後でも再入場が認められている。

これだけでもお得に使えるが、それなら就業現場が毎日変わる方は定期券を買わずに24時間券を買い、実質24時間以上利用したほうがお得ではなかろうか。

例えば1日目(月曜日)は8時に購入・入場して目的地へ向かい、帰路も同じ券を利用。2日目(火曜日)は同じ券で8時前に入場して目的地に向かい、帰宅時の19時に新しい券を購入し入場。3日目(水曜日)は前日買った券で出勤し、帰路は19時までに入場――というサイクルだ。

単純にいえば同じ券を最低3回利用するため、片道200円以上の区間なら使える手だ。週に6日メトロを利用するなら4回買えばいいので週2400円、1日当たり400円。このサイクルを繰り返せばメトロの運賃は月1万円程度で済む!

これなら東京メトロ全線定期1カ月より7000円ほど安いし、メトロの最長区間(和光市―西船橋)の1カ月定期代(9150円)に1000円ほどを足すだけで、毎日違った区間や経路が自由に選び放題だ。

■定期券も「分割」できる

前回の記事「電車賃を節約、切符の買い方ケチケチ大作戦」でJR運賃の距離帯別運賃制度を活用した節約術をご紹介したが、これは定期運賃にも言えることである。

JRの定期運賃は距離帯の境界で値段の差が大きいところがあり、距離が長くなるにつれてキロ当たりの値段差が大きくなる。これを利用して、区間を分割して買うことによって安く上げようというわけだ。区間を分割してもICカードなら1枚のカードに記録できるし、区間の境界駅でいったん降りて改札を通る必要といった面倒は不要だ。

例えば新宿―東船橋32.2kmは1カ月1万6480円だが、新宿―亀戸(13.5km、1カ月6460円)と、亀戸―東船橋(18.7km、9050円)に分割して購入すると計1万5510円となり、970円お得だ。

さらに、山手線内区間が長い場合は分割するともっと値段差が出る。山手線内だけを利用する定期運賃は通常よりも安めに設定されているからだ。そこで、山手線もしくは山手線に並行する路線に乗り換える駅で区間を分割する。

例えば、南浦和―大崎28.2kmは1カ月1万3900円だが、南浦和―池袋(14.8km、6460円)と、池袋―大崎(13.4km、5820円)に分割すると計1万2280円となり、1620円もお得になる!

また、JRには私鉄との競合区間において割安な「特定運賃区間」というものがある。この特定運賃区間だけ分割すると、前述の山手線内分割と同じ仕組みで安くできる。

JRと私鉄との競争が激しい関西はとくに運賃の差が顕著だ。京都の隣、山科から大阪まで(48.3km、1カ月2万3510円)なら、山科―京都(5.5km、1カ月5500円)と京都―大阪(42.8km、1万6530円)に分割すると、計2万2030円となり1480円もおトクである!

以前の記事「特急料金、1駅ずらせば数百円も節約できる」にて、50km刻みで変わる料金制度を活用し、特急の乗車区間を1駅ずらすだけで数百円程度節約できる話を紹介したが、これはグリーン料金にも言えることである。

例えば大船―新宿53.2km(グリーン定期券で1カ月6万7440円)なら、戸塚―新宿47.6kmだけグリーン定期券を5万4790円で購入し、大船―戸塚間の5.6kmは普通車用定期(1カ月4850円)にすれば計5万9640円となり、7800円も安くなる。これは大船発だけでなく、藤沢以西や北鎌倉以南からでも戸塚で分割すれば同じだ。

■ケチケチ術で生活防衛

こんなことまでしてグリーン定期代をケチる前にライナーに乗るからいいよと思ったそこのあなた! 確かに今はそれでいいかもしれないが、首都圏のJR各線はライナーを全車指定席の特急に改め、着席料金をライナーの1.5~2倍に吊り上げている現状をご存じだろうか。

常磐線に始まり、最近では中央線の「中央ライナー」「青梅ライナー」の特急化と実質的値上げが記憶に新しい。JR東日本は最近「どこまで、行けるか」というキャッチコピーのCMやポスターを作成しているが、通勤客向けの着席料金アップについても「どこまで、行けるか」なんて考えているかもしれない。節約できる方法を考えておくに越したことはない。

いかがだったであろうか。前々回の記事あたりから圧倒的多数の好意的な反応をいただきありがたい限りだが、それでも中には「ケチくさすぎて気持ち悪い」「そんなことしていたら女に嫌われる」などといったコメントがあった。

ならば言わせてもらおう。経団連会長やトヨタ会長などの発言によって「日本はもう大企業ですら終身雇用が守れない」ことが明らかとなった今、ケチにならずして、デートや結婚生活が営めると言うのだろうか!? 共感いただけた方はぜひご一緒に、ケチの美学を広めようではありませんか!

北村 幸太郎:鉄道ジャーナリスト

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