テイラー・スウィフトが「Appleに勝利」した戦略 「感情ツール」がアイデアや芸術作品を広める

東洋経済オンライン / 2019年6月28日 7時50分

SNSがポジティブもしくはネガティブな拡散に影響を与えるのはどんなときなのでしょうか? テイラー・スウィフトを例にその条件を解き明かします(写真:gilaxia/iStock)

フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、ユーチューブ。たった10年ほどで、ソーシャルメディアは私たちの生活の中心に躍り出た。人々のアイデアはハッシュタグや写真や動画を介して広まり、一夜にして世論を形成するようになっている。

同時に、育休取得者に対する転勤辞令によって退職を余儀なくされた事案で、SNSによる拡散が世論形成に重要な役割を果たした現象にもみられるように、変化の遅い従来型の企業はついていけなくなっている。また、ビジネスにおいても、もはやSNSを抜きにしたマーケティングはありえなくなっている。こうした変化の先に何があるのか。

ディズニーで『トイストーリー3』のプロモーションを手がけたことでも知られ、このたび『ソーシャルメディアの生態系』を上梓した著者が、SNSがどのような条件でポジティブもしくはネガティブな拡散に影響を与えるのかを、アメリカの「セレブ」たちの具体例を基に解き明かす。

■視聴者や読者が「配信システム」

SNSのフォロワーとのつながりをいかに保つか。インフルエンサーとの間に関係を築き、それをネットワークに持ち込むことが、成功の重要な要因になる。明確な絆があるからこそ、地球のあちこちにいる数億もの人々にメッセージを高速で伝えることができる。

だが、それと同じほど重要なのは、私たちと関係を結んだインフルエンサーが自身のネットワークを管理することだ。

インフルエンサーたちは、信用と忠誠を培うのを助ける良質なコンテンツを着実に送り出すことで、自身のフォロワーとの積極的なつながりを保たなくてはならない。そうすることこそが、ソーシャルメディアの時代におけるネットワーク・メンテナンスだ。

伝統的なテレビ放送の世界では、ネットワークのメンテナンスといえばそれは、カメラや電波塔やケーブルの維持管理をさすが、ソーシャルメディアにおいては、それは人と人の心のつながりを保つことにほかならない。視聴者や読者はもはや単なるオーディエンスにとどまらず、「配信システム」そのものでもあるのだ。

ポップカルチャーの世界においては、ネットワーク・メンテナンスの女王はテイラー・スウィフトだ。テイラー・スウィフトはショー・ビジネスの世界では文句なしに、もっともパワフルな女性だ。

スウィフトは単身でアップル・ミュージックに─―消費者向け製品のメーカーとしては世界で最大の成功を収めているあのアップルに─―対抗して立ち上がり、アーティストへのロイヤルティーに関する方針を一晩で変更させるのに成功した。

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