世界遺産を身近にした「東海北陸道」の威力 距離も時間も短縮した「画期的」道路の功績

東洋経済オンライン / 2019年7月2日 18時10分

岐阜バスが運行する白川郷行きの高速バス。観光地へのアクセス向上に高速道路が果たした役割は大きい(写真:筆者撮影)

総区間185㎞にわたって東海地方と北陸地方を直結する大動脈「東海北陸道」。観光面でその恩恵を最も受けているエリアが世界遺産「白川郷と五箇山の合掌造り集落」であろう。高速道路と観光の関係を考えるうえで、その「教科書」ともいえるこの両地域の最新事情をお伝えする。

日本の多くの高速道路は、基本的には従来の幹線鉄道に沿う形で建設されてきた。

東海道線に沿うような形でできた東名や名神をはじめ、東北道、関越道、中央道、北陸道など、細かいところは別として、おおむね並行した路線となっている。大都市を結ぶ形で線路が敷かれ、その鉄道沿いに都市が発展してきた近代の都市の歩みをなぞる形で高速道路が建設されてきたのは、当然といえば当然である。

■鉄道沿いではない新ルート開拓した東海北陸道

そんな中、直線を引けば真っすぐ結ばれる愛知県と富山県を南北に縦断してつなぐ鉄道は建設されてこなかった。地図を見ると一目瞭然、険しい山岳地帯が立ちはだかり、その建設を阻んできたからである。

現在は第三セクターの長良川鉄道となっている旧国鉄の越美南線は、岐阜県白鳥町(現在は郡上市)の北濃駅でレールは止まっていた(福井県のJR越美北線と結ばれる予定はあった)し、富山県側のJR城端線も砺波平野の南端の町城端が終点である。

両者を阻む山岳地帯を最新の道路建設の技術により結ぶことを意図して建設されたのが、愛知県の一宮JCTと富山県の小矢部砺波JCTとを結ぶ、東海北陸道である。それまで、名古屋から富山までは鉄道にせよ、高速道路にせよ、米原を経由したのち敦賀、福井、金沢と北上していくため相当迂回しなければならず、心理的距離はそれ以上に遠かった。

それが東海北陸道の開通で、マイカーで急げば名古屋から富山まで3時間余りで行けるようになった。地域間の距離を縮めたという意味では、画期的な高速道路となったのである(なお、東海北陸道とほぼ並行する国道156号線には、かつて名古屋と金沢を結ぶ名金線と呼ばれる路線バスが運行されていた)。

この沿線は名古屋都市圏の人にとっては手近なスキーエリアであり、長い間暫定二車線であったため、冬季の週末はスキー客で渋滞が慢性化していることでも知られていたが、今年3月に高鷲IC~ひるがの高原SAの4車線化が完成したことにより、一宮JCTから飛騨清見ICまでの120㎞の4車線化が完了、すでにその大部分が完成していたこの冬の渋滞の大幅減少につながるなど、時間短縮効果がすでに表れている。

■高速直結で一大観光名所に

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