青森―福島「潮風トレイル」はどんな歩道なのか 被災地をつなぐ道沿いに始まる新たな試み

東洋経済オンライン / 2019年7月4日 18時0分

トレイル起点・終点の蕪島(撮影:河野博子)

青森県八戸市から福島県相馬市までの太平洋沿岸をつなぐ長距離自然歩道「みちのく潮風トレイル」の全長1025キロメートルが6月9日に全線開通した。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)により、6年前に63歳で亡くなった紀行作家の加藤則芳さんが働きかけ、環境省を中心に道づくりを進めた。欧米、韓国、そして日本でも最近人気の「歩く旅」。私も少し歩いてみた。ルートには、地元の漁業関係者の小舟で行く部分も組み込まれ、これをきっかけに工夫を凝らしたエコツアーを始める漁師さんもいる。被災地をつなぐ道沿いに、新たな試みが始まっている。

■起点の蕪島、ウミネコたちが子育て真っ最中

トレイルの起点(あるいは終点)は、青森県八戸市の蕪島。八戸駅で、新幹線からJR八戸線に乗り換える。駅のホームの看板に、「うみねこレール八戸市内線 JR八戸線(八戸〜鮫間)」とある。2両編成の電車は、「うみねこレール」と呼ばれるらしい。鮫駅で降り、10分ほど歩くと蕪島(かぶしま)に着いた。

蕪島は、ウミネコの繁殖地として、国指定の天然記念物に指定されている。

ネコの鳴き声のような大合唱とともに、数知れない白いウミネコが舞っていた。

神奈川県から写真を撮りに来たという男性が、「小さくて黒っぽいのが今年生まれたヒナ。あっちのフェンスの向こうの草むらをよく見ると、いるよ」と教えてくれた。保護フェンスの向こうに目を凝らすと、いたいた、つぶらな瞳のヒナが。

「7月末から8月にかけて、ウミネコの親子は北海道の太平洋岸に移動し、この島にはウミネコはいなくなる。翌年2月ころからまた集まりはじめ、ヒナを生み育てるのです」という鮫観光協会の杉本健一会長(70歳)の説明によれば、今は繁殖シーズン真っ盛り。

いつごろから、どういうわけで、ウミネコの繁殖地になったのか。

「江戸時代の俳句にも詠まれています。そのもっと前からでしょうね」

起点の蕪島から歩こうと思ったのは、みちのく潮風トレイルのホームページ上に「モデルコース」として、詳しく紹介されていたからだ。島の上にある蕪嶋神社に上る階段は手前で閉鎖されて、上れない。2015年11月5日に火災で全焼し、再建工事中。島にウミネコがいる期間、工事は休み、秋から再開予定だそうだ。

■野趣に富む道なき道

トレイルを歩く人は、事前に名取トレイルセンターに立ち寄るか、もしくは郵送による申し込みにより、歩きたい地域のトレイルマップを入手することが奨励されている。

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