時給「1000円ぽっち」払えない企業は潰れていい 日商「最低賃金アップ反対論」は国益に反する

東洋経済オンライン / 2019年7月5日 7時20分

最低賃金引き上げへの反対論は、「極めて浅はかで、短絡的なものが多すぎる」といいます(撮影:尾形文繁)

オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。

退職後も日本経済の研究を続け、『新・観光立国論』『新・生産性立国論』など、日本を救う数々の提言を行ってきた彼が、ついにたどり着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行されて半年。「最低賃金引き上げ」というアトキンソン氏の主張が現実のものになりつつある。

今回の参院選も、自民党が最低賃金1000円、立憲民主党が1300円、共産党が1500円を掲げ、まさに「最低賃金引き上げ選挙」と言っても過言ではない状況だ。

しかし一方で、最低賃金引き上げに対して強硬な反論も見られる。今回は、政府の方針をいち早く牽制した日本商工会議所の主張を検証する。

■「ミクロ企業の集約」こそ日本復活のカギ

『日本人の勝算』を発表してから約半年が経ちました。

やや手前みそになってしまいますが、本書の発表以降、世間でも次第に、日本が直面している人口減少危機に関して理解が深まっているように感じます。政府も、金融緩和などのごまかし的な政策では人口減少時代に対応できないことに気づき、日本経済の構造問題に取り組まないといけないと認識を新たにしているようです。

ご存じのように、日本政府は長年にわたってゼロ金利政策を実施し、日銀による異常ともいえる金融緩和を実行してきました。さらに繰り返し補正予算を出したりと、経済対策に取り組みました。しかし、日本経済はいまだ完全回復には程遠い状況にあります。それによって、日本は世界一の借金国になりました。

日本政府は経済の構造問題にメスを入れることなく、一方で次から次へと企業に猶予を与えることで、経済が回復することを期待してきました。その間、実に30年です。

しかし、政府の願いもむなしく事態は好転せず、ついに高齢化・人口減少に耐えるための根本的な経済政策を実施せざるをえない状況に追い込まれてしまいました。企業に猶予を与えても、状況はよくならないどころか、悪くなるばかりだということが明らかになりました。

日本経済の構造的な問題の根幹は、給料が安すぎることです。そして、その裏にあるのが、日本では社員20人未満のミクロ企業で働く労働人口の比率が、途上国並みに高いという事実です。これに尽きます。

生産性を向上させたいなら、こういったミクロ企業を集約させるしか方法はありません。逆にミクロ企業の合併・統合を促すことで、長かった日本の衰退に、やっと歯止めがかかるのです。

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