スマホで敗れた「ノキア」が再び復活できた理由 大変革を率いた現役会長が語る激動の日々

東洋経済オンライン / 2019年7月14日 7時40分

――これまでの経験では実際にはどのように役立ってきたのでしょう?

マイクロソフトと携帯電話事業の売却交渉をしていたときのことだ。われわれのビジネスそのものといっていい事業を売却することは容易ではなかった。当時はスマホの製品開発でマイクロソフトと提携し、「ウィンドウズフォン」を展開していた。彼らとは独占契約を結んでいた。

だがマイクロソフトが自社開発のノートPC「サーフェス」を発表すると、事態は大きく変わった。われわれノキア側は「マイクロソフトはそのうちスマホにも進出するのではないか」と考えた。独占契約と言っても一方通行だったのだ。ノキアは他社とは組めないが、マイクロソフトは競合製品を作ってもよかった。

そこでさまざまなシナリオを考えた。スマホを作るとしたらどれくらいの時間がかかるか、それに対してわれわれは何をすべきか、彼らがやろうとしていることをどのように知るか。あるいは、彼らを訴えることはできるか。さらに、マイクロソフトがスマホメーカーを買収しているとしたら?もしかするとHTCを買収するのかもしれない、彼らは交渉中なのか。最悪のケースを避けるために、さまざまなシナリオを考えた。

――交渉はどのように進んでいったのでしょうか。

最初にマイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(当時)に会った際、私がまず伝えたのは、「われわれはパートナーだ」ということだった。だからこそ、マイクロソフトが自社開発のデバイスを作る必要があるなら、その理由を理解する必要がある。なぜ今のままではパートナーシップが成功に導けないのか。どの部分がうまくいかないと思うのか。既存の提携関係を変える余地はあるのか、といったことを尋ねた。

もちろん、スマホの販売数量が伸びず、当時の提携関係には互いに満足していなかった。だからこそ、この交渉がマイクロソフトとの関係を変えるいいきっかけだと考えていた。その間、われわれが自信を持って発売した新製品「ルミア920」の売り上げが、目標数値に達する前に減り始めた。私はスマホビジネスはもううまくいかないと悟り、その瞬間にマイクロソフトへの事業売却が最優先事項に変わった。

■通信機器メーカーへの大変身

――携帯事業の売却を経て、シーメンスとの通信機器の合弁会社を100%子会社にしました。このことが、通信機器への集中のきっかけとなりました。

マイクロソフトと交渉していた2013年の夏、われわれはシーメンスとも交渉を進めなければならなかった。彼らが通信機器の合弁会社「ノキア・シーメンス・ネットワーク(NSN)」の株を売却したいという意向を示したからだ。その頃は将来の戦略をじっくりと考える時間はなく、交渉を完了できるかも不透明だった。

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