「日韓関係崩壊」で笑うのは中国だという皮肉 アメリカの無関心さが最悪な事態を招いた

東洋経済オンライン / 2019年7月17日 7時40分

目下、両首脳が重視しているのは国内政治である。21日に参議院選を控えている安倍首相はもとより、北朝鮮との外交失敗に対する批判が持ち上がっている文首相もナショナリズムを盾に支持率を回復したいと考えている。

■「日本政府のレッドラインを越えた」

一方、アメリカの外交政策エリートからは、トランプ政権に対しても、日韓関係が悪化していることを深刻に受け止めず、両国が外交による問題解決を二国間で図ることが明らかにできなくなった時点でも積極的に介入しなかったことについて批判が高まっている。

「アジアで危機が広がっていることに対して、関心を持っている人がほとんどいない」と、メデイロス氏は15日付のワシントンポスト紙に書いている。「とりわけ、この危機を唯一解決できるであろうアメリカ政府がそうであってはならない」。

アメリカの政府高官らは、日本政府が韓国に対する輸出規制に踏み出した背景には、2015年の慰安婦合意の破棄、韓国の最高裁が日本企業に下した戦時中の韓国の徴用工に対する賠償支払い命令などの、韓国の一連の動きがあることは十分理解している。その後、日本企業の資産を差し押さえる命令を出したことや、関係を正常化するために1965年の協定に基づき調停を行うことを韓国側が拒否したことで、「日本政府のレッドラインを越えた」と、メデイロス氏は論じている。

だが、政府高官らは同時に、今回の輸出規制が韓国側に不適切な事案があったから、という日本の公式説明には納得していないどころか、過去の韓国の動きに対する報復であると見ている。いずれにせよ、責任問題はアメリカにとって重要ではない。拡大する報復の連鎖は明らかに制御不能になっており、そのことがもたらす結果こそが重要なのである。

「この紛争の地政学的・経済的コストは相当に高いうえ、上がっている」とメデイロス氏は書いている。「日韓どちらも自らの議論について技術的なメリットを有しているかもしれないが、それぞれの国のより大きな外交および経済的利益、ならびにアメリカの利益を近視眼的に損なっている」。

アメリカの政府関係者は、2つの主要な安全保障同盟国間による衝突で得するのは中国と北朝鮮であり、両国は日米間における安全保障の協力関係の崩壊を見て喜んでいるのではないか、と懸念している。

「驚くべきことではないが、アメリカが調停役としての役割を果たしていないのは、ほとんど犯罪だ」と元政府高官は語る。「サプライチェーンに影響が及ぶことはすなわち、アメリカの利益にも関わってくる。これはトランプ大統領が掲げる『アメリカ・ファースト』の直接的な結果でもある。この危惧すべき状況で勝ち組となるのは中国くらいだ」

■日本の「公式説明」誰も信じていない

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング