吉本とジャニーズの激震で破れる芸能界の均衡 テレビと芸能は共同体のままでいいのか

東洋経済オンライン / 2019年7月23日 18時40分

7月22日に東京都内で開かれた吉本興業の会見には、大晦日恒例の「笑ってはいけない24時」シリーズ(日本テレビ系)でお馴染みの藤原寛副社長(左)の姿もあった(撮影:大澤 誠)

平成から令和になり、初めての梅雨と夏を迎えた。しかし、それはエンターテインメント界にあっては異常な季節だった。

ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏の訃報が流れたのが7月9日。まるでそれを待っていたかのように、7月17日に「元SMAPメンバーである稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の民放テレビ局出演に対する圧力の疑いで公正取引委員会がジャニーズ事務所を注意した」とのニュースをNHKが報じた。

ジャニーズは「圧力などをかけた事実はなく」と釈明したが、東洋経済オンライン編集部が事情をよく知る関係者に取材したところ、公正取引委員会が将来に向けての違反行為につながる恐れがあるとして、未然に防止するために本件でジャニーズ事務所を注意したのは間違いなく事実だ。

そして、7月20日には、雨上がり決死隊の宮迫博之と、ロンドンブーツ1号2号の田村亮が会見を開き、反社会勢力の会合に出席したことや、当初、嘘をついていたことなどを謝罪。これを受けて7月22日に2人の所属事務所である吉本興業の岡本昭彦社長が会見を開いた。

この2つの激震を垣間見て、何だか芸能の世界の“均衡”が破られた気がした。

■大物芸人ですら闇社会の密接な接触は許されない

闇社会と芸能界のつながりは、この「芸能と興行」というなりわいがはじまった江戸時代頃に始まったと岩波現代文庫の小沢昭一著の『私は河原乞食・考』にもあるし、世界中にこうした事例が見られる。小沢氏によると「(テキヤも芸能者も)同じ体制の『病理』が生んだアウトローなのだ」と闇稼業も芸能者も根っこは一緒としている。

ただ、時代が変わった。かつて吉本興業で起こった有名な事案は、島田紳助と暴力団との関係であった。これは島田本人との個人的なつながりであったため本人解雇で吉本は直接的には被害を受けなかった。今の社会と法律は、島田紳助のような大物芸人ですら闇社会との密接な接触は許さない。

そして、今回の吉本興業所属タレントをめぐる一件だ。6月7日発売の写真週刊誌『FRIDAY』の記事掲載から、岡本社長が7月22日に公の場に姿を見せるまで、吉本側からは文面による発表以外は、何の記者会見も開かれてこなかった。

記事掲載があってからこの間、事務所とタレントの間に相当な議論とコンタクトがあったにもかかわらず、その経緯が初めて公に語られたのは事務所ではなく芸人が独自に開いた記者会見の場であったことも異様だ。それは安倍政権の命運を占いかねない参議院議員選挙の前日の土曜日であった。一部、この土曜日から日曜日までの報道・情報番組のかなりの部分がこの吉本報道に費やされたことに苦言を呈する向きもある。

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