トヨタに逆風?中国「HV優遇」転換で起きる懸念 政府が軌道修正、HV先行の日系企業の行方

東洋経済オンライン / 2019年8月2日 8時20分

上記の「低燃費車」に対する優遇政策が実施されると、中国におけるHV生産が増加すると予測される。日系HVの販売台数が一層伸びるとの伸長を期待させる一方で、3つの懸念要因が潜むものと思われる。

■日系HV販売への3つの懸念要因

1つ目はHV市場が期待通りに拡大するか、という懸念がある。トヨタ「プリウス」は、フルHVの代表モデルであり、累積世界販売台数は300万台を超えた。中国では「プリウス」が2005年に現地生産を開始したが、販売価格高により2015年には生産停止となった。

その後、「Corolla」(一汽トヨタ)、「Levin」(広汽トヨタ)など日系HVが、現地生産による高いコストパフォーマンスを実現した結果、日系HV車シェアは中国HV市場全体の約95%を占める。

一方、2018年の中国HV販売台数は約27万台、中国新車販売全体の1%にとどまっている。中国ではNEVとして推進されるPHVに対し、過渡期としてのHVが一気に増加することは考えにくい。トヨタは今年4月、HVの特許無償開放を発表しており、中国でHVシステムの販売も強化する方針だ。しかし、多くの地場メーカーはすでに2015年からフルHVの開発を中止し、PHVの開発に力を入れている。

2つ目は中国のガソリン車生産の抑制政策だ。中国政府は今年1月、「自動車産業投資管理規定」の適用を開始し、ガソリン車やHVメーカーの新規参入を禁止するととともに、既存の自動車メーカーに対してもその生産能力の拡張を厳格化した。

HVの生産能力を拡張しようとする場合、自動車メーカーの既存工場の稼働率およびNEV生産の比率が業界平均を上回ることが条件とされる。そこからはNEV生産の実績が少ない自動車メーカーによるHVの増産を厳しく規制する方針が見受けられる。しかし2018年の日系各社のNEV生産台数は約1万3000台、生産比率は0.5%以下に留まった。HVが生産拡張規制の対象となったことは日系自動車メーカーにとって痛手だ。

3つ目はドイツ系メーカーの脅威だ。先行する日系メーカーのフルHVに対し、VWなど独系5社は2011年に48VのマイルドHVシステム(電源電圧を48ボルトに引き上げたモーター・電池パックなどの組み合わせ)を新機軸として打ち出し、ボッシュ、コンチネンタルなど大手サプライヤーも巻き込んで部品規格を共通化させようとしている。

日系メーカーのフルHVシステムに比べ、48Vシステムを搭載するマイルドHVは、燃費改善効果でフルHVの7割程度だが、生産コストではその3割に過ぎない。

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