専業主婦がいないと回らない日本の「構造問題」 複雑に絡み合う問題を分解する

東洋経済オンライン / 2019年8月7日 10時0分

女性の社会進出を促進させるには、日本企業の雇用形態の見直しが必要です(写真右より、東京大学大学院教育学研究科の本田由紀教授、ジャーナリストの中野円佳さん)(撮影:梅谷秀司)

東洋経済オンラインでの連載「育休世代VS.専業主婦前提社会」に大幅加筆した書籍、『なぜ共働きも専業もしんどいのか~主婦がいないと回らない構造』が発刊された。これに合わせて、本著の中で書籍や論文の引用をさせてもらった有識者らにインタビュー。第3弾は、東京大学大学院教育学研究科の本田由紀教授。

■崩れつつある「戦後日本型循環モデル」

中野:本田先生は、戦後の日本において、仕事・教育・家庭の3領域において循環が起こっていたとする「戦後日本型循環モデル」と、その破綻について唱えておられます。

戦後日本型循環モデルとは若者が新卒一括採用で企業に入り、正社員になれば長期安定雇用と年功賃金を得られる。そうして家族を持つことができるようになり、父が持ち帰る賃金を受け取り母が家庭での役割を担い、次世代の子どもへの教育にも時間や費用をかけられたということですね。

しかし、それが崩れつつあります。まずバブル崩壊以降、正社員になれない人たちが増えた。家族形成できないような低賃金や劣悪な労働条件なのに、男性が稼ぎ主で、女性は家庭にといった価値観はあまり変わらない。ゆえに、共働きで支え合うという形にもなりづらく、少子化につながった。子どもに与えられる教育にも格差が出ている……これが戦後日本型循環モデルの破綻ですね。

拙著ではそれを参考に、「主婦がいないと回らない構造」の図を描かせていただきました。最初にこのモデルが崩れてきているとして提示されてから、現在に至るまでの変化をどう見ていらっしゃいますか。

本田:この図を初めて提示したのは2008年のことです。戦後日本型循環モデルが崩壊しつつあるという図に関しては、あまり状況は変わっていないと思います。

バブル崩壊以降に正社員雇用が減少し労働環境が悪化したという点については、団塊世代の引退などで就職環境が改善しているので、やや正社員雇用が復活している側面はあると思いますし、一部には働き方改革が進んでいるホワイト企業もあります。

が、企業内の働き方は大きくは改善していないでしょう。仕事と家庭の関係も、いまだに男性育休の取得率は低く、女性の就労率は上がっているとはいえパート中心。家族と教育の関係も、家庭に教育費がのしかかり、家庭間で格差が広がるという状況が続いています。保育も足りていません。

■循環モデルは一方向では成り立たなくなっている

中野:循環モデルでは教育→仕事→家庭→教育という形で一方向だった矢印を、これからは双方向にしていく必要があるとおっしゃっています。

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