「就活川柳」に込められた学生たちの喜怒哀楽 「祈っても 想い届かず 祈られる」と嘆く声も

東洋経済オンライン / 2019年8月8日 7時40分

それに当時は、エントリーシートやインターンシップもほとんどなかった。就職活動自体がまるで違っていたわけだ。そして、今や当たり前となった企業、例えばヤフーも楽天もまだ誕生していない。こうして考えてみると、就職活動だけでなく、日常生活自体がとてつもなく変化した時代だったと言える。親のアドバイスがずれていたとしても許してあげて。まさに「時代が違う」んだから。

■サラリーマンが偉く見える

ここからは、佳作に入選した作品をいくつか紹介していきたい。

サラリーマン 偉人に見える 就活期 (神奈川県 モチモチのパンさん)

普段、街中や電車の中で、何気なく目にしているサラリーマンやOLの人たち。実は、彼ら、彼女らも全員が就職活動の関門を乗り越えて、今があるんだということに気づいたとき、尊敬の念を抱くとともに、みんなが偉人に見えたという句。

酔っぱらってネクタイを鉢巻のように頭に巻いている新橋のオジサンたちでさえ、もう笑うことはできない。早く、偉人の仲間入りができることを祈っている。

それ他社(よそ)の 浮かぶ冷や汗 ああ落ちた (東京都 カフェ&バー豊永さん)

ある食品メーカーの面接で、その会社の好きな商品を聞かれた際に、間違って競合他社の商品名を答えてしまった瞬間の一句。

エントリーシートの志望動機欄などを使いまわすときにも起こりやすいミスであるが、面接ともなるとその瞬間は凍り付いたに違いない。ましてや最終面接で役員相手にしでかした日には、笑ってごまかすことも不可能だ。よくあるネタだけに、これから面接を受ける人は十分慎重に。

祈っても 想い届かず 祈られる (東京都 ぴろきさん)

「この企業に絶対に入りたい」「何でもするから受からせてくれ」と企業に思いをはせ、合格することを祈り続けても、企業から届くのは「今後のご活躍をお祈りしています」のお祈りメールばかり。

企業と就活生のすれ違いを表現した句であるが、これは学生からばかりではなく、採用担当者からも同様の嘆きが聞こえてくる。

クールビズ 真に受け面接 みな正装 (兵庫県 末式部さん)

2011年の東日本大震災以降、クールビズやドレスコードフリーを採用している企業が一気に増えた。そのため夏場の面接では、学生に対しても「服装はクールビズで」とか、「カジュアルな服装でお越しください」と案内されることも少なくない。

■面接会場はスーツの学生ばかり

ただし、学生からしてみると、前後に別の会社の面接が入っていたりしたら、その会社だけクールビズの服装で訪問するわけにはいかない。

もちろん、前後の予定がなかったとしても、学生からしてみればクールビズやドレスコードフリーの服装を考えるよりも、いつものスーツのほうが楽である。

結果的に面接会場はスーツの学生ばかりになる。バカ正直にカジュアルな服装で参加した学生の悲哀を詠んだ一句。本当に面接学生の服装をクールビズにしたいのであれば、企業ごとに任せるのではなく、全社にクールビズ面接をルール化しない限り、無理な話である。

さて、「2020年卒 就活川柳・短歌」のオフィシャルページには、入選作品すべての作者の思いも記載している。ぜひご覧いただきたい。次回は、採用担当者による「採用川柳・短歌」を紹介する。

松岡 仁:ProFuture HR総研 主席研究員

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