「東京パラ」で日本の障害者行政は変われるか 大成功した「ロンドンパラ」に学ぶべき視点

東洋経済オンライン / 2019年8月17日 8時30分

2012年のロンドン五輪でメイン会場となったロンドンスタジアム。パラリンピックは障害者行政が変わる契機になりえます(筆者撮影)

東京2020パラリンピックの開催まであと1年あまりとなった。パラリンピックを開催する意義は、障害者のスポーツを見て楽しむだけではなく、障害者が抱えるさまざまな課題を解決する基盤づくりにもあると海外の関係者は指摘する。

その意味において、パラリンピックが最も成功したと言われるのは、2012年に開催されたロンドン大会だ。278万枚のチケットが完売し、会場は連日満員。パラリンピック史上最高の大会と称された。東京2020の開催が決定してから、日本の関係者もさまざまな面でロンドン大会を参考にしている。

イギリスと日本を比較研究している研究者や、ロンドンで暮らす障害者に、パラリンピックによるロンドンの変化と、東京の現状をどのように見ているのかを聞いた。

■パラリンピックの影響を4年かけて調査予定

2019年6月、東京2020パラリンピックが社会に与える影響について考えようと、日英のパラスポーツ研究者が集まるシンポジウムが東京で開かれた。主催者は身体障害とパラリンピックに関する研究で国際的に著名なイギリス・コベントリー大学の研究員イアン・ブリテン氏。ブリテン氏は東京2020パラリンピックの開催前と開催後で、障害者の生活にどのような変化が起きるのかを研究している。

具体的には、東京都内で暮らす20歳代から70歳代までの障害者26人を対象にインタビューを実施。このシンポジウムの直前の4月から5月にかけて最初のインタビューを行っており、今後4年間かけて調査を続けるという。

同様の研究は、ロンドンパラリンピックの前後でも行っているため、最終的にはロンドンと東京を比較できる。ブリテン氏は、大会開催前の状況を調査した結果、ロンドンに比べて東京で気になる点を挙げた。

「日本には、障害のない人を指す『健常者』という言葉があります。障害イコール健康ではないという意味で、障害のある人と健常者を区別しています。しかし、四肢が切断された人でも健康な状態であることはありえます。つまり、日本は教育やスポーツ、交通アクセスなどさまざまな機会で障害者を区別して、隔離状態にしているために、障害者を理解する機会に欠けているのです。

もちろん、東京2020の組織委員会や国土交通省などが現在、バリアを取り除くための政策を進めています。それはそれでいいことですが、日本では障害者に対する態度を変える努力がもっとなされなければならないと感じています」

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