「全員出世を目指す」日本の働き方は無理すぎる 日本企業は「ジョブ型が標準」へ転換できるか

東洋経済オンライン / 2019年8月20日 7時50分

日本の雇用において賃金上昇や女性の社会参入を阻んでいる要因は何か。そして解決の道はあるのか、鶴光太郎教授(右)とともに探っていきます(撮影:尾形文繁)

東洋経済オンラインでの連載「育休世代VS.専業主婦前提社会」に大幅加筆した書籍、『なぜ共働きも専業もしんどいのか~主婦がいないと回らない構造』。これに合わせて、有識者らにインタビューをして本著の議論をもう一段進める。第4弾は、慶應義塾大学大学院商学研究科の鶴光太郎教授。

■日本は正社員の中にさらに格差をもたらす二重構造状態

中野:日本の雇用システムは、専業主婦が支えて男性正社員は「無限定」に働くことを前提にしてきました。また、それにより共働きが増えていく中でさまざまな軋轢が出ています。

欧米の「ジョブ型」は職務内容を明記したうえで採用をして、賃金もその職務にひも付いています。社内での異動は基本的に社内公募が中心で、転勤なども従業員の同意が前提です。

一方、日本の「メンバーシップ型」は、職務・場所・時間が限定されていない「無限定社員」で、これが大きな問題を生んでいます。ワーク・ライフ・バランスを持てなくさせ、女性の参入を阻み、また個人が専門性を身に付けることを阻害する。こうした問題を鶴先生も指摘されています。

「無限定社員」のような働き方ができる人ばかりではなくなってきている中で、数年前から、「限定社員」の考え方が出てきました。でも、私は地域限定社員などを取材してきて、基本的にあまりうまくいっていないのでは、と感じています。

女性ばかりがそれを選ぶことで間接的に格差につながっているし、昇進しづらいことで当初想定以上の賃金格差が生まれている企業もあります。結局、1つの会社の中に「限定社員」と「無限定社員」があって、どちらかを選べとなると、基本的には無限定社員を選ぶ競争になってしまうのではないでしょうか。

鶴:私が雇用ワーキンググループの座長を務めていた規制改革会議では、「限定社員」を「ジョブ型正社員」として法制度化して、導入する議論をしてきました。そのときに、組合側が懸念していたのが今おっしゃったような内容でした。正規・非正規の格差が問題なのに、さらに正社員の中に格差をもたらす二重構造をつくるのかと。

確かに二重構造は望ましくなく、当初から相互転換できる仕組みをつくらないといけないということを言ってきました。ジョブ型と無限定を行ったり来たりできるようにする。三菱UFJやAIG損保など、実際に転換できる仕組みを導入している企業もあります。

中野:総合職・一般職の相互転換制度を導入したものの、5年経過して誰も使っていないというような企業もあります。

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