イタリア連立政権崩壊でまたも欧州の火種に 右派政権成立なら、EUとの対立激化は不可避

東洋経済オンライン / 2019年8月21日 14時0分

コンテ首相(右)は辞任を表明。左は辞任に追い込んだ右派「同盟」の党首で副首相のサルビーニ氏(写真:ロイター/YARA NARDI)

イタリアで政権がまたも崩壊した。ポピュリスト政権を率いるジュセッペ・コンテ首相は20日、連立政権内からの内閣不信任と前倒し総選挙の要求を受けて下院で演説し、辞任の意向を伝えた。昨年6月に誕生した左派寄りの反エスタブリッシュメント政党である「五つ星運動」と、右派系ポピュリスト政党の「同盟」による連立政権はわずか1年足らずで幕を下ろすことになる。

五つ星運動は貧しい南部を主な支持基盤とし、政治刷新や環境重視を訴えている。一方、同盟は豊かな北部を支持基盤とし、移民の受け入れや欧州連合(EU)に懐疑的な主張を繰り返す。両党の間では財政運営や欧州委員会の次期委員長選出などをめぐって、これまでもたびたび意見衝突が見られた。

難民対策の強化やマッテオ・サルビーニ党首の個人的な人気も相俟って、同盟の支持率は昨年3月の総選挙後に倍増し、30%台後半に達している。他方、議会の最大勢力である五つ星運動の支持率は、目玉政策の最低所得保障制度(ベーシック・インカム)が骨抜きとなったことや目立った成果が挙げられなかったこともあり、10%台後半に半減している。

政権内では、支持率の逆転とともに、同盟の発言力や政策への影響力が日増しに高まっていた。

■「五つ星」を外し、右派政権を目指す「同盟」

政権崩壊の直接的なきっかけは、同盟が推進するトリノ=リヨン間の高速道路計画の是非を問う7日の議会採決で、五つ星運動が反対票を投じたことだった。だが、支持率逆転と度重なる政策対立を受け、サルビーニ党首は自身の首相就任と右派政権を誕生させる機会をうかがってきた。連立内の意見衝突や政策の停滞を打破するには、総選挙を通じて国民に審判を委ねる以外にないとし、自らも閣僚を務めるコンテ政権への不信任を表明していた。

コンテ首相は20日の議会演説で、個人と政党の利益のために政権と国を危機にさらしたとしてサルビーニ氏を糾弾した。五つ星運動のルイジ・ディマイオ党首もサルビーニ氏への不信感をあらわにしている。同盟は昨日の議会でコンテ首相の辞意表明を受け、最終的に内閣不信任案を取り下げたが、両党間の関係はもはや修復不可能な状況にある。

今後の政局展開はセルジオ・マッタレッラ大統領の仲裁に委ねられよう。議会の解散権を持つ大統領は、21・22日にかけて上下両院の議長や各党党首と会談する予定で、秋の予算審議を優先し、議会の過半数を確保できる新たな政権の枠組みがないかを模索する模様だ。

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