クールジャパン機構、見えない黒字化への道筋 新体制の下、国内外企業にハイペースで投資

東洋経済オンライン / 2019年8月22日 7時10分

過去1年間、官民ファンドのクールジャパン機構が投資を加速させている(撮影:尾形文繁)

官民ファンドの1つであるクールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)が、ここにきて矢継ぎ早に投資を加速させている。

「寄付を寄せてくれた世界中のアニメファンに感謝を伝えたい」

8月にクールジャパン機構が投資を決めたアメリカの日本製アニメ配信・販売会社「Sentai」のジョン・レッドフォードCEOは、こう言って犠牲者に哀悼の意を表した。

機構が投資を決める直前の7月、京都アニメーションの放火事件が発生し、35人が死亡した。レッドフォード氏はニッチ市場向け日本製アニメのライセンス事業を手がけるSentaiを2008年に設立。京アニを支援するクラウドファンディングサイトを立ち上げて寄付を呼びかけていた。

■「過去の反省を現在に生かしている」

2013年に設立されたクールジャパン機構の経営陣が一新されてから、ちょうど1年が経過した。

三菱商事出身でサンケイビル社長の飯島一暢会長、イッセイミヤケ社長や松屋常務執行役員などを務めた太田伸之社長に代わり、2018年6月に社長に就任したのがソニー・ミュージックエンタテインメント出身の北川直樹氏だ。北川氏を支えるCOO兼CIOには、投資ファンドのペルミラ・アドバイザーズ社長を務めていた加藤有治氏が就いた。

この2人が引っ張る形で、昨年10月以降、Sentaiを含む国内外の企業9社への投資を決定するなど、ハイペースで投資を実行している。

北川社長は「(旧経営陣が)5年間、何もないところから、相当苦労して案件を立ち上げた。その反省も含めて、現在に生かしている」と振り返る。

旧体制との違いは、「キャッシュフロー投資重視」「現地パートナー重視」「グローバルシナジー追求」など5つの投資ルールを掲げ、投資領域としてメディア・コンテンツ、ファッション・ライフスタイル、食・サービス、インバウンドの4分野を掲げたことだ。

加藤氏は「政策性という観点からは以前とまったく同じものを追求しているが、(収益性の観点では)事業基盤がすでに確立したもの、しかも海外で確立しているものを比較的重視している」と話す。

■「決別」を印象づけた動画コンテンツ企業への出資

中でも旧体制との“決別”を印象づけたのが、新体制として第1号案件となる、アメリカの動画コンテンツ制作・配信企業「Tastemade」(テイストメイド)への投資だ。ゴールドマン・サックスやアマゾンなど、著名な大手投資家を割当先とする3500万ドルの増資の一角に食い込むという「幸運」も重なった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング