アパレル業界、「販売員」の仕事は消えるのか 服選びをサポートするのは「人」か「機械」か

東洋経済オンライン / 2019年8月24日 7時10分

テクノロジーの進化に伴い、若い世代をターゲットとした新しいサービス、「レコメンデーション」のあり方が台頭してきている。

ただし、このまま「販売員の仕事」がなくなってしまうのかというと、決してそんなことはない。

■デジタル化社会における「販売員」とは

どんなにデジタル化が進んでも、販売員とのコミュニケーションを通じたリアルでの購買を好む人は一定数いる。信頼できる販売員からの季節ごとの「レコメンデーション」を好む人もいるだろう。

一方、店舗は好きだけど販売員と話すことは嫌いなので、店舗で気に入った商品を見つけても、その場では買わずにECでの購買を好む人や、そもそもECでしか購買しない人も確実に増える。

要は、価値観の多様化とテクノロジーの進化が進むと、人々の買い方も千差万別になっていくわけだ。

このような消費社会では、販売員の接客においてもいかにテクノロジーを活用するかが重要となる。

例えば、お客様が店舗に入った際に、「この人は話しかけられるのが嫌かどうか」や「過去、何を購買したのか」が瞬時に販売員に共有されれば、その後の接客対応も向上するだろう。従来、ベテランの優秀な販売員にしかできなかったことが、テクノロジーの力で誰でもできるようになるのだ。

実際、画像認識AIの進化に伴い、技術的には来店者の自動認識は可能となっているし、来店者カウントなど店頭でのAI利用も徐々に始まっている。

このように多様化する消費者に合わせた「パーソナライズ」や「レコメンデーション」は、オンラインだけでなくリアルの場でも常識になっていくだろう。

中国ではすでに、デジタルがリアルを包含した結果、オンラインとオフラインという概念はなくなり、24時間いつでもどこでもオンラインいう生活環境となっている。2030年に向け、日本も似たような環境にシフトしていくだろう。

そのような社会では、テクノロジーの効果的な活用はあらゆるシーンで必須となる。販売のような一見アナログな分野においても、デジタル活用が成否を分ける時代が来るのだ。多様化するお客様の見極めをせずに、通り一遍な接客を続けるようなお店は、客足が遠のいていくだろう。

デジタル化社会では、企画、ものづくり、広告宣伝、販売など、あらゆるバリューチェーンで「パーソナライズ」が可能となる。

多様化する消費者に合わせた「パーソナライズ」や「レコメンデーション」を、いかに自社のビジネスモデルに取り込むか。これからのアパレル企業の成否を分ける鍵である。

書籍『2030年アパレルの未来 日本企業が半分になる日』の第2刷の一部におきまして、弊社の編集過程で誤りがありました。著者ならびに読者の皆さまに心からお詫びの上、以下のように訂正させていただきます。
224ページ前から5行目
誤:「約5000億円」
正:「約500億円」
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福田 稔:ローランド・ベルガー パートナー

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