養護施設の子どもが「1+1=2」理解できない事情 「数字の概念」がわからない子どもたち

東洋経済オンライン / 2019年8月27日 17時0分

認定NPO法人3keys代表理事・森山誉恵さん(写真:GARDEN Journalism)

保護者のない児童や、被虐待児など家庭環境上「社会的養護」を必要とする児童は、約4万5000人。そのうち、現在全国に605箇所ある児童養護施設に暮らす子どもたちは、おおむね2〜18歳の2万5282人に上ります(※1)。

児童養護施設の主な入所理由は「父又は母の虐待・酷使」が18.1%、「父又は母の放任・怠だ」が14.7%で、平均在所期間は4.9年とされています。12年以上在籍している児童も7%います(平成25年2月1日時点)(※2)。

そんな中、「認定NPO法人3keys」は、東京都内の2つの児童養護施設と連携し、2011年から小学生への学習支援を続けてきました。今後支援拠点を2施設増やそうと、クラウドファンディングに挑戦しています(支援URL)。

■「数字の概念」がわからない子どもたち

3keys代表理事の森山誉恵さんは、大学時代に近所の児童養護施設でボランティアを始めたことをきっかけに、虐待や貧困などの家庭で育ち十分な学習環境がなかった子どもたちの支援を始めました。その中で、施設にいる子どもたち特有の学習課題に直面し、3keys設立後はオリジナル教材の開発にも力を入れるようになりました。

「最初は学習塾さんと連携して市販の教材よりかなり簡単なものを基本教材としていたのですが、それでもなかなか解けない子がすごくたくさんいて。子どもが解いている様子や解いた教材を見ながら分析していくと、『数字の概念』すらわかっていない子たちがたくさんいて」と、森山さん。

3keysオリジナルの算数教材では、「1+1=2」という数式を学ぶ前に、「○○は、○と○」「2は、1と1」と、丸や数字で「概念」をスムーズに理解できるよう工夫されています。

「幼児期に家で『おはじき』や『お買い物ごっこ』をしっかりやっていると、小1の段階で何となくわかって学校に来る子が多い。でも、虐待や育児放棄で絵本を読んでもらったこともなければ、一緒に買い物に行ったこともない、親といろんな遊びを幼児期に経験していないとなると、『1は記号でしかない』というのがなかなか抜けられない。

例えば、『1+1=2』は『1と1が合わさったもの』という概念ではなく、暗記してしまっている。そうすると、1桁の計算までは解けるのですが、『15+15』になると暗記できなくなってしまい、そこからつまずきが始まっていくというのが、寄り添っていると見えてきました。児童養護施設で支援している子だと小1から中3の7割はここからつまずいている印象で、中学生でもここからスタートしなければいけない」。

■「プライドを傷つけず、自分のレベルに合った教材」を

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